4.1 新方式レーダーの案
高速船に対するレーダーによる追尾には、東京湾システムから蓄積したノウハウが重要である。すなわち、高速船の監視方式としても最適で経済効果の高い方式として、基本的な追尾方式はそのまま継承し、追尾実績が確実に得られる新方式案をつぎに示す。
なお、偽像などで追尾が安定して得られない場合などの従来からの問題点については今後とも別途の対策が必要である。(この対策案を含む改良案は次項に示す)
(1) 方式検討
新方式レーダー案の検討にあたっては東京湾の海上交通情報機構のレーダーを基準とし、今後の船舶通航業務における高速船の監視方式のあるべき姿を検討した。
(2) 主要各機器の機能性能調査設計
新方式レーダー系に要求される性能を検討した結果、つぎに示すとおりの必要性能を決定した。
前提条件として、今後の高速船は東京湾海上交通情報機構での設計目標値であった追尾可能な船舶の最高速力(約35ノット)を超える速力となるとした。
今後のVTSレーダーで追尾する船舶の最高速力は、テクノスーパライナーの研究開発の成果および現時点において航海速力が約40ノットを超える高速船(ジェットフォイル)などを考慮して約50ノットとする。
1) レーダー系
a) 回転空中線装置 互に送受面を180°相違させ背中合わせの2つのアンテナを持つ
(空中線の回転数は毎分10回転)
b) その他の性能 その他の性能は全て既存のレーダー装置の性能に同じ
2) 情報処理装置系
a) 処理周期 3秒
(背中合わせで両面のアンテナからの映像を交互に順に処理する)
b) 装置構成など その他の装置構成などは既存の各情報処理装置の構成などに同じ
但し、処理性能のみ既存の各情報処理装置性能の2倍以上