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第3章 船舶通航業務の世界の動向

3.1 高速艇に対する船舶通航業務

 

1998年の6月にドイツのハンブルグで開催された第14回国際航路標識会議のVTSセッションでのドイツのDr.-Ing. Reinhard Muller,Kpt.ほかの「高速艇に対するVTS」の論文において、

1]最近、高速フェリーによる交通量の増加と変化が、航行の安全を改善し海洋環境を保護するための新しい対策を必要としており、技術面と組織面での新しい取り組みが必要になっているとして、高速艇の航路が含まれるVTSの海域において、航行船舶に対して陸上(VTS)で航海用のデータを収集し、これを提供する情報システムは、特に高速旅客フェリーに対して安全性の改善に寄与する。

2]現在ヨーロッパ海域では86隻のHSC(High Speed Crafts)が使用され、世界では206隻が使用されており、高速艇の交通海域は急速に増大しつつあり、その運航は主にVTS海域であるとして、VTS運用者に対し、安全確保のためよりきめ細かな情報の提供を行うなど新たな要求が示されている。

3]VTSの役目としてHSCに対し最高速度での航路内航行を保証すべきであり、HSCに対し安全かつ高速で航路内航行を保証する誘導情報の提供が重要である。

と報告されている。

このような状況においての問題解決の一方策として、AISをVTSに応用する試みを提案するとともに、VTSのより効率的な運用を行うため、Wismar大学海洋学部では、交通誘導のための支援システム(VTMC:Vessel Traffic Management Centre、船舶交通管理センター)の開発を行っており、このシステムをVTSに導入することにより、HSCに対し適切な誘導および情報提供を行うことができ、高速で航路内航行を可能とすることができるとしている。

 

本論文の抄訳を参考資料2に示す。

 

 

 

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