2.3 電波行政上の規制の把握
(1) 陸上設置の海上監視用レーダーの周波数
現在の割り当て周波数の継続使用については問題はないものと考えられる。
(2) 海上移動周波数帯の電波
第3章の3.3で述べるAIS(Universal Shipborne Automatic Identification System:船舶自動識別システム)は、海上移動周波数帯(国際VHF帯)の電波を使用するシステムであるが近い将来において本システムは全世界的に導入されることになるため、仮に電波法令上の制約がある場合であっても今後のその設備利用などにかかる電波法令上の問題は解決されると考えられる。
2.4 AISの現状と問題点
近年、船舶の位置情報などを船舶相互間及び船舶と陸上間で通報し、船舶交通の安全などに役立てるAISの検討がIMO(International Maritime Organization:国際海事機構)などで行われている。
第3章の船舶通航業務の世界の動向で、欧州ではVTSの高速船への対応策の一つとしてAISが検討されつつあることが示されている。
我が国でも、検討され始めているが、現時点においてはまだ不明確な点が多く、AIS搭載が国際的な合意が得られ、2002年頃から新造船に適用されるとしても、VTS海域の対象船舶全船が装備するまでには相当の年月を要すると考えられること、搭載義務対象外の内航船を含む殆どの小型船はレーダーによらないと監視ができないことなどから、今後ともレーダーによる船舶の監視は必要であると考えるのが妥当である。
(AISの概要は第3章3.3に示す。)