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◇西宮地区

・市役所都市計画課のホームページ…議会情報、観光地の道しるべ、北山植物園便りなどの情報を提供。端緒についたばかりだが、今後もっと展開していきたい。

■課題(なぎさ海道を整備する上で)

◇エリア全体

・ソフトの不足…緑地や遊歩道などハード計画はあるが、ソフトがほとんど検討されていない。

・広報活動と受け皿不足の問題…広報はほとんど何も行われていない。湾岸道路はてきたが、駐車場やレストランなど受け皿が十分でなく、外部からの人を大量に受け入れる態勢ができていない。PRをすることにかえって不安がある。

・海上レクリエーションの問題…ジェットスキー愛好者が増加し、他の海上スポーツや船舶との事故やトラブルなどが懸念される。海域を有効かつ安全に使用するために、利用者間での調整が必要。

・津波対策…2040±10年に発生が想定されている南海道地震の際に、どのような津波対策をするのか(尼崎の場合、発生から2時間でやってくる)。現状では不安である。ベイエリア全体で検討しなければいけない最大の課題。運輸省第三港湾局で勉強会がスタートした。

・港と港をつなぐルート…赤穂から大阪まで、各港をつなぐ船によるアクセスは考えられないか。

・人工のなぎさ…西方の防波堤(4.5km)を利用して、人工的になぎさが作れないか。

・自然条件を念頭に入れた海辺の開放…大阪湾の湾奥部では気候や季節によって潮流や波の高さなど条件が異なり、一歩間違えば海辺は危険な場所となる。それを踏まえた活用が望まれる。

◇西宮地区

・海岸利用者のモラル問題…住宅地と海岸が接近しているため、海岸利用者の騒音や自動車の渋滞、ゴミの問題などに対し、住民からの苦情が多い。「ヨットと自然海岸の町」としての特徴を生かしながら、利用者と住民との共存を工夫していく必要がある。

ex.1.毎年6月下旬から9月上旬までは住民から花火の騒音の苦情が絶えない。

ex.2.平成9年、香櫨園浜で外国籍の人の為のコンサートが開かれたが、近くの住民から音の苦情が殺到した。

・廃船の問題…不法係留している船の中で、明らかに長年使用していない船がある。廃船には経費と手間がかかるので、持ち主がそのまま放置している。景観を損ねる上、危険だ。

・プレジャーボートの問題…海上レクリエーションが多様化し、船の種類や隻数が増加しているが、既存の施設はすでに一杯である。従前大阪や神戸に係留していたディンギーが新西宮に移転してきている。今後は一層需要が高まると予想され、国レベルで検討が行われている。

・整備の目的の再確認…海上レクリエーションを楽しむのは、ごく一部の特定の人々で、しかも外部から来る人が多い。もっと地域の人々が気軽に海辺や川辺に親しめるような市民全体を対象とした整備が必要ではないか。誰が何のために整備をするのか、目的を再確認する必要がある。

ex.1.遊歩道にシャワーを設置して、散策の途中で使えるようにする。

ex.2.広い幅の歩道にして、自転車と歩行者が併用できるようにする。

・公による規制の問題…不特定多数の人が同一の場を利用するには、「すみわけ」ができていないと、常にトラブルが生じる。最初に基本概念を作っておかないと、整備が整ってから条例などで規制するのは非常に難しい。

・土地利用の問題…このエリア内には遊休地がほとんどない。使用しなくなった埠頭は、国や県が管理しているものなので、市は管理上入ることができないし、本来以外の目的に使うことはてきない。

※「活力ある町づくり推進調査研究会」…国土庁による調査。県の担当は復興推進課吉田氏(平成9年10月段階)。平成9年度は市街地、平成10年度はウォーターフロントを調査。このエリアの自転車での美術館・博物館巡りマップ(西宮大谷記念美術館、白鹿記念酒造博物館、辰馬考古学資料館など)を作成している。実際の調査は関西総研が受託。

◇尼崎地区

・人□の回復…国道43号線以南には、かつて約3万人の居住者がいたが、現在は約1万人。国勢調査によると、高齢者や単身者が多く、年齢別の定着率では最も移動しやすい20代の比率が高い。また借家率が高く、この地に持ち家を希望する人が少ないことが窺える。鉄鋼や機械など素材産業が中心だったため「労働者の街」のイメージがあり、それが住民が定着しない一因にもなっている。現在、市の開発拠点は、JR尼崎駅周辺、阪神尼崎駅周辺、扇町地区の3ケ所。従来の尼崎のイメージを払拭させるような魅力的な新都市核にして、人口を以前のレベルまで回復したい。

・周辺企業との調整…土地利用の見直しのため、周辺企業との連絡会を実施している。企業全体の人数が減ったため遊休地や空き家になった社宅も多く、この地域は実質的な空き地によって虫くい状態なのが現状。しかし企業の側も早急な移転や廃業は難しく、地区全体を面的に一斉に変えることは不可能。尼崎が地元の産業に支えられて存在していることは事実だが、産業構造も変化しつつある。「R&D産業支援ソーン、工業高度化ゾーンなど」を位置づけているのは、素材産業から生活産業、ハイテク産業など、より消費者に近い業種に転換し、コンパクトに残って欲しいという意図がある。

 

 

 

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