を開放して水を入れても、距離が長いため、東堀運河付近の水質は悪化していた。礫間を通して強制的に揚水ポンプで汲みあげ、滝状に落とすことによって水質浄化をはかる。西堀運河は導水が良く、かなりきれい。
d.噴水…礫間を通して吸い上げ、噴水にして落とすエアレーション・システム。北堀運河に整備を検討中。大阪の道頓堀ではすでに効果があがっており、景観的にも良いが、管理と維持に経費がかかる。
e.イトゴカイの散布…香川大学農学部の先生の研究によると、イトゴカイは有機物を食べるため、水質を改善する可能性がある。東堀運河に導入予定。
f.浮島…植栽した人工島を水路に浮かべ、鳥が好むような環境をつくる。同時に浮島の付着生物によって、有機物の分解も期待できる。北堀運河に整備予定。
●尼崎臨海西部拠点開発事業
・震災後、扇町地区で遊休地化していた神戸製鋼所、関西熱化学、同和精鉱の工場跡地を県と尼崎市が買い上げ、新しい都市の形成をめざす。全体の規模は約55ha。平成9年に土地利用変換の法的手続きが終了。平成10年3月、土地区画整理の事業計画が決定した。トータルデザインは黒川紀章氏。
・市の計画「尼崎臨海地域整備計画」でゾーンニングされている新都市交流ゾーンのなかに震災復興の一環とし、県企業庁と尼崎市との共同で、整備を推進中。旅客埠頭も設ける予定。市としては、新たな都市核の形成を計りたい。
・整備の内容
a.住宅地整備…2,000戸の中高層住宅を整備予定。(当初は震災復興住宅として整備する予定であったが、工業専用地域たったこともあり、転用が間に合わなかった。)住宅に隣接して商業施設の立地も計画。ただし社会情勢や経済事情が変化していることもあり、今後の住宅需要の受け皿としての可能性を再検討中。三菱総研を通じて、西淀川〜芦屋間、阪神電車以南のマンション居住者にアンケートを実施した。
b.リニアパーク…ビオトーブ型のリニアパーク(道路に沿って広がる公園)を構想。
c.キャナル緑地…平成10年6月より新たな埋立地(9.2ha)の護岸基礎工事に着工。平成14年春完成予定。完成した埋立地に、幅40m、長さ500mの運河を掘って親水性のある公園を整備する「キャナル緑地」をつくる構想がある。
d.レクリエーション用地での施設構想…上記の埋立地にヨーロッパをイメージしたテーマパーク「環境ルネツサンス・ミュージアム(仮称)」を検討中。現在、三菱総研を通じて尼崎市を中心とする100km圏で無作為にアンケートを実施。アンケート結果から、関心のある年齢や階層、集客数などを予想し、事業化の可能性を検討する。
e.旅客埠頭…南端に5.9haの旅客専用ターミナルを整備予定。
f.アクセスの強化…関連事業として、県道尼宝線の国道43号以南約1.1kmを拡幅してアクセスを強化する。平成11年に事業採択されるように要望中。
※この事業によって、武庫川、窪川、国道43号に囲まれた尼崎臨海西部地域約500haのエリアのほぼ1割が生まれ変わる。
※今後は都市計画論にソフトの味つけが必要。ハード整備だけでなく、快適な生活環境のためのコンセプトを入れ込んでいく。尼崎臨海部全体約1,000ha再整備の最初の段階と考え、多様な機能のある場として設定したい。
※平成7年から周辺企業約10社と連絡会議を設け、開発に際しては周辺に負担を与えない土地利用転換への理解を求めている。
●あまがさきチルドレンズ・ワールド(仮称)
・丸島地区の中核施設として計画。全体で19ha。市が6haを有し、残りは県の下水道施設の上部利用。青少年向けの体験型レクリエーション地としてスポーツ施設や遊園地を整備する予定で、平成16年が完成目標。既存の施設は魚つり公園。当面、暫定利用として野球場や多目的広場として整備。
●大阪湾フェニックス計画(尼崎地区)
・すでに80%が完成、計画上は平成15年には埋立完成の予定であるが、廃棄物の受け入れ減少により、延伸の見込み。
・住宅地と工業地帯が混在する既成市外地からの工場移転、港湾関係施設の整備に加え、南端に10haの緑地が計画されている。昭和62年の計画決定(昭和62年)からすでに10年以上が経過し、当初と社会状況が変化してきた。兵庫県と尼崎市で土地利用について再検討中。
●中島川リフレッシュ計画
・中島川沿岸は従来力ミソリ護岸であったが、阪神淡路大震災で決壊したため、国道43号以南、約3.5kmの堤防を緑化し、景観を重視した親水護岸に整備中。現在86%まで完了。平成10年度完成予定。
●防災対策
・臨海部は、きわめて地盤の低いエリア。臨海西部拠点開発事業区域では地区全体で平均3〜4mの嵩上げを行い、堤防の上まで7m程度にする予定。(尼崎臨海西部拠点開発)
◇丸島地区
・ほぼ全域が工業用地。
・南端の魚つり公園を含めた整備計画を市が公表。