段護岸にした。防潮堤の役目を果たしながら周囲の景観と適合するように考慮されている。現在、東側への同様の改良工事を県に希望している。
・御前浜(香櫨園浜)と西宮浜地区は橋で結ばれる(平成11年3月完成予定)。橋は航路を確保するために開閉式。
(3)尼崎地区
・既存の岸壁や企業の専用護岸(企業用)には手を加えることはできない。埋立地の新しい護岸は、全て県の管理となる予定。
・蓬川の東側約500haを工業・物流の高度化ゾーン、西側約500haを多様な機能が複合したゾーンとして、土地利用を分ける。全体の整備は、2016年を目標としている。
・臨海部の整備の方向性…ベイ法の開発地区指定を受け、主に西側の地域を再整備する予定。
●リフレッシュポートあまがさき計画
・平成2年に第三港湾建設局と兵庫県、尼崎市で立案。臨海部南部の運河や水路は、高度成長期に尼崎を工業地帯として発展させるための重要な役割を担ってきた。しかし近年、産業構造や物流体系の変化によって、その従来の役割は低下しつつある。これらの運河や水路を活性化させ、環境の改善と親水性を図ることによって快適な地域づくりを目指す。
・運河・水路を有効に生かし、市民を水辺に近づけるウオーターフロント・コミュニティの形成が目標。平成10年6月、運輸省の「エコポート・モデル港」の指定を受けた。平成13年には市街地から北堀、中堀を通りシンボルゾーンの閘門地区までの整備が完成の予定。
・計画のメインが「水と緑の回廊づくり」。北堀運河近辺の遊歩道が完成。今年度は中堀運河を中心に、親水護岸と遊歩道の整備が行われる。
・河川と港湾が重複している区域が多いことが特徴。整備計画の主体は県と尼崎市だが、尼崎閘門の改修は運輸省へ委託。
・企業との連携…運河利用者へのトイレなど施設提供までは行われていない。荷役場部分は開放されていない。
・主な整備内容(ゾーンを6つに分け、水と緑のネットワークで結ぶ)
a.尼崎閘門付近…閘門は水位の異なる二つの水面間を船舶が通行するために設けられた施設。尼崎市域の大半が地盤沈下によるOm地帯で、防災の面からも必要とされ、昭和29年度に第一閘門が、昭和39年度に第二閘門が完成した。第一閘門、第二閘門を合わせると国内で最も大きく、個性的な海岸保全施設。平成6年に新第2閘門が完成、現在新第1閘門を整備中。閘門の外側には人工磯ができる予定。改修工事と合わせて閘門展示館(仮称)を建設予定。
b.北堀運河…周囲は工場地で、遊休地はほとんどない。平成10年7月、運河沿いにボードウォークの遊歩道が完成した。現在は工場地の脇を歩くような形だが、人が入りこむようになると、自社のイメージアップのため企業が植栽などによって修景を施してくれることを期待している。周辺工場に勤める人たちが利用しているようだ。
c.東堀運河…地域に愛着をもってもらうため、整備計画策定に際して、市民参加の方法を取り入れていく予定。
d.中堀運河…北堀運河と同様、親水性の遊歩道を整備していく予定。一部に既存の荷揚げ用岸壁があり、全域を通しての整備は時間がかかる。
e.西堀運河…遊ボート設備を整備し、プレジャーボートを集約、収納する予定。
f.旧左門殿川…沿岸部は民有地が多い。企業に対して護岸や工場への植栽など修景の協力を依頼する。
●エコポートモデル事業およびエコポートモデル港指定
・平成7年から運輸省港湾局が推進してきた事業。水質の改善、野鳥が群れるなど、環境と共生する港湾(エコポート)の実現を目指す。全国の模範となる港湾を「エコポートモデル港」に指定して、総合的なインフラ整備を重点的・先行的に実施する。基本的に、既存事業との組み合わせによる事業を推進しているため、はじめから予算がついているわけではない。
・「リフレッシュポートあまがさき計画」はこの事業に適合すると認定され、平成10年6月に尼崎運河水路ゾーン及び周辺海域が「エコポートモデル港」の第四次指定を受けた。指定後約2年で、モデル事業が認定されるケースが一般的。
・シーブルー事業…「エコポートモデル事業」の事業内容の一つ。水質の改善や生態系の回復ための整備事業で、親水性を目的とした整備事業との相乗効果によって人と生物が快適に共生できる環境を目指す。
・尼崎運河水路ゾーンにおけるシーブルー事業
a.底質の没渫…川底の汚泥を浚渫し、良質の砂で覆砂する。東堀運河で実施予定。
b.礫の利用…閘門改修工事の際、偶然砂利を堆積しておいた部分の内側の水が浄化され、礫が水質改善に効果があることが判明した。今後は一般の人が近づけない場所であっても、可能な限り礫浜をつくり、野鳥を保護するサンクチュアリ的な場所にする。現在、丸島地区、扇町地区、尼崎閘門周辺など5ヶ所に整備予定。また東海岸地区に整備予定の埋立地の岸壁(公共埠頭)には、礫間接触酸化機能(礫を堆積して通水させる)を導入し、水際線の水質を守る。
d.導水…南部臨海部は潮の干満が効かないため、水が流れにくい。武庫川は汚れがひどく、また庄下川は水位が低いため、導水には利用できない。丸島水門