(3) ニーズの高度化・多様化
市町村に求められる役割は、地方分権の進展とともに、今後、ますます質的にも量的にも様々な方向に拡大していくことが予想される。また、住民から市町村への期待も、日常生活圏の広がりとともに、より高度なものへと変化してきている。
しかし、近年、市町村の財政状況は景気低迷の影響なども受けて全国的に著しく悪化してきており、財政の立て直しのため、各市町村とも施策のあり方を厳しく見直していく必要性に迫られている。多様化・高度化したニーズに対応するためとはいっても、財政支出を拡大させるような手段ほどの市町村においても、容易に容認されるような状況にはないと思われる。
したがって、市町村は、限られた人材、限られた財政の中で、ニーズの高度化・多様化という状況に対応していかなければならない。これは極めて困難な立場に置かれているといえる。これを実現していくためには、可能な限り行政のスリム化・効率化を図っていくことが緊急の課題となってきている。
(4) 将来への戦略
以上述べたような、厳しい財政状況下における高度化・多様化するニーズへの対応という課題に応える一つの方法が、広域での連携という「仕掛け」である。
この点について、地方分権推進委員会は、第1次勧告において、「都市化の進展、交通網の整備拡大に伴い、人々の日常生活や経済活動の範囲が拡大する一方、行政サービスの高度化・専門化が一層求められており、地域における行政も、広域的な視点の下に行うことが非常に重要になってきている。今後、こうした傾向はますます顕著になっていくことが予想され、地方公共団体においては、地方分権の進展に伴い増大する役割を十分に果たしていくため、一部事務組合・広域市町村圏・広域連合など多様な仕組みの中から地域の実情に応じて適切なものを選択し、広域行政を積極的に推進していかなければならない」と述べている。また、第2次勧告においては、「住民の日常生活や経済活動がますます広域化する一方で、多様化・高度化する住民ニーズに対応したより高度の行政サービスの提供が求められていることから、