第4章 広域連携の意義と必要性
1 必要性の高まり
(1) 地方分権の進展
地方分権という政策課題自体は古く、シャウプ勧告当時からの懸案事項である。シャウプ勧告は、わが国の社会経済のすみやかな復興とその健全な発展を図るためには、地方自治の確立が必要なことを指摘し、それを実現するための方策として、市町村中心主義を打ち出した。これは、住民に身近な事務は市町村で処理することを基本として、市町村、都道府県、国の事務を再配分し、それぞれの責任を明確にするとともに、国・地方を通ずる税財源の再配分を行い、地方公共団体の自主財源を強化することにより、分権とそれに伴う責任の所在を明確にすることを意図したものであった。
しかし、シャウプ勧告に基づく事務の再配分はただちには実現されることなく、その後はむしろ、機関委任事務の強化などを通じて国のコントロールを強める方向に向かって進み、それに伴って税財源の面でも、国庫補助金などの依存財源の占める割合が高まる傾向が続いてきたといえる。
このような行財政システムは、地域間の格差をできるだけ抑え、国土の均衡ある発展とナショナルミニマムを担保していく上では、有効な体制であった。
しかし、競争のない横並びの体制では、今日の多様性を求める社会の変化・成熟化には、次第に対応しきれなくなってきている。同時に、住民が自ら住みよいまちづくり、地域づくりに積極的に関与しようとする意識も高まりをみせてきた。こうした事態に対処して、国においても地方分権の推進が具体的な政治課題となってきた。
その第一歩は、平成5年の衆参両院における「地方分権に関する決議」であり、また、同年の第3次行革審の最終答申であった。翌年には、地方六団体から「地方分権の推進に関する意見書」が出され、第24次地方制度調査会も「地方分権の推進に関する答申」を提出し、これらを受けて平成6年12月「地方分権大綱」が閣議決定された。