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牛の乳しぼり体験

 

3. 交流事業の効果

これまで、山村留学に取り組む中で、たくさんの成果が生まれた。

まず、学校教育にとっては、複式学級の解消による教育効果の向上、地元児童の思考の多様化、永水の自然や地域の良さの再認識・再評価、多様な授業構成による教職員の資質向上など多くの効果があった。

留学生は、小規模校での存在感の大きさや、自然や農業体験の中から、命の大切さ、人や物をいたわる心を培った。また、親元を離れることにより親の大切さを知る良い機会にもなった。

山村留学は、都会の子供の癒しの場としてだけでなく、都会の子供と農村の子供の良さを共に学びあえるのが魅力である。

この制度を始める前にも、当時のPTA役員が中心となり、町外在住の地元出身者にUターンの説得を幾度となく行なったが、成果はあがらなかった。しかし、山村留学を始め、都市から注目を浴びたことで、わが故郷を再認識した地元出身の若年層のUターンや、親子留学や地域外からのIターンもみられるようになり、人口増につながった。平成3年時に推定した平成10年度の児童数は43人であったが、実際には79人であり、留学生の8人を差し引いても、推定数より28人増加している。都市と農村の交流により、過疎地域の若者世帯の定住化が具体的に進んだのである。町も要望に応え、公営住宅6戸、特定公共賃貸住宅4戸等の整備を行った。

 

4. 交流事業の問題点と今後の展望

永水の山村留学も7年目を迎え、役員組織形態の改革など、運動を推進するシステムの在り方と人づくりが組織内部の課題である。

そして、山村留学の取り組みで得た地域の豊かさの認識、目覚めを、今後、地域経済活動へ結びつけていくために、平成10年度から「むらづくり委員会」を組織し、教育、定住化、そして産業おこしへと地域のトータル的発展の構想を紬いでいこうと新たな胎動を始めている。

 

 

 

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