事例44 熊本県・五和町(人口11,379人 面積50.05km2)
〜イルカウォッチングでつくる交流のまちづくり〜
1. 交流事業の契機
九州天草北部に位置する五和町通詞島周辺海域では、約300頭のバンドウイルカが生息しており、悠々と泳ぐイルカの群れは、五和町の人々にとって100年来の風景のひとつである。
五和町は、平成2年に天草海洋リゾート基地建設構想がリゾート法による国の承認を受けると同時に、天草における交流の中心地となる大舞台の創造を目指し、“交流”という新たなテーマに本格的に取り組み始めた。
しかし、平成4年頃にはバブル経済の崩壊や環境公害等の波が押し寄せ、大企業をベースとした大型リゾート構想の推進を鈍化させ、交流リゾートの方向も、地域の特性を生かし環境を重視した考え方へ移行を始めた。
このような状況下で、“地域自らの創意工夫”“自然環境との調和”“地域産業の振興”の3つ基本理念とした天草観光開発基本調査が実施され、「海と人との関わりが学べる通詞島」構想が策定されると共に、通詞島の自然を活かした交流の場づくり運動が始まり、平成5年には、地元住民による「通詞島明日の観光推進協議会」が結成され、イルカウォッチングがスタートした。
2. 交流事業の経過・概要
◆イルカウォッチングの経過
1) 平成5年8月
イルカウォッチングがスタート。
2) 平成6年4月
第1回天草通詞島国際イルカ会議を開催。
3) 平成6年12月
五和町観光協会にイルカウォッチング部会を結成すると同時にイルカウォッチングの自主ルールを策定。
4) 平成7年2月
イルカの骨格標本等を展示するイルカミュージアムが民間により設置。
5) 平成8年1〜3月
イルカウォッチング講演会を1月と3月に開催。
6) 平成8年6月
五和の海のイルカが、環境庁の「日本の音風景100選」に選定。
7) 平成8年10月
イルカの生態調査を開始。平成10年も調査継続中。
◆イルカウォッチングの概要
季節を問わず一年中見ることができる五和町のイルカウォッチングは、漁船に乗ること5分から10分でイルカの群れに遭遇することができる。