日本財団 図書館


事例43 熊本県・清和村(人口3,653人 面積129.49km2)

〜緑川生涯学習館宿泊施設「清流館」整備事業〜

 

1. 交流事業の契機

全国的な高齢化、少子化の流れの中、中山間地域におけるそれは、都市とは比べ様にもないほど極めて厳しいものがある。

清和村は、昭和28年10月の町村合併促進法の施行に伴い、昭和31年7月1日に朝日村と小峰村の2村合併で誕生したが、当時の人口8,000人は高度経済成長期の国策と共に都会へと流出、平成7年の国勢調査では3,489人にまで減少した。ここに至るまでの問題は色々あるが、農林業主体の清和村においては、農業では畜産物の自由化や米あまり現象の中での米生産調整、林業では外国産木材の輸入拡大や国産材木需要の減少による価格低迷などにより、徐々に生産意欲はそがれて後継者は都会に憧れ、親も子供の自由を許し、農村には老人と女性と子供が取り残される事態となった。

その結果、村教育委員会では児童生徒数の減少による小学校の再編統合を平成7年3月31日に実施した。これにより、6小学校から3小学校となったが、廃校となった小学校は築10年程度とまだ新しく、校舎の再利用が村の重要課題となった。そこで村は、行政サイドのプロジェクトチームや地域住民との検討を重ねた結果、旧小学校の校舎については生涯学習館として、また、屋内体育館施設については社会体育施設として利用することになった。そのうちの1つである旧緑川小学校が、交流施設「緑川生涯学習館」である。

しかし、利用がほとんどないままに1年が経過したため、なんとか施設の有功活用をと取り組んだのが、宿泊研修施設として整備することであった。

 

2. 交流事業の経過・概要

緑川生涯学習館のある当地域は、九州山脈の懐に位置し、熊本県下三大河川の緑川の源流地域であり、山紫水明の地でもある。その四季が織り成す自然美、そして山間部特有の人情味を都市と山間地域の交流基盤とし、宿泊のできる生涯学習の場を提供することにより、地域の活性化を図ることとした。

施設の改築については、平成8年度は「“ふるさとC&C”モデル事業」により、旧校舎1階部分(床面積653m2)の浴室、小研修室、交流サロン、食堂、管理室、 トイレの各工事を実施した。総事業費31,724千円(内国庫補助金10,300千円)であった。

平成9年度は、熊本県地域振興総合補助事業(交流促進分)により、旧校舎2階部分の宿泊室5室(床面積324m2)、旧給食室の食材提供施設(床面積38m2)及び浄化槽の各工事を実施した。総事業費49,830千円(内県補助金23,400千円・地方債23,300千円)であった。

2年間の施設整備により、平成10年6月1日に緑川生涯学習館宿泊施設「清流館」としてオープンした。

施設の運営管理については、緑仙峡開発振興会に委託した。この振興会は、昭和61年に設立された緑仙峡紅葉祭やフィッシングパークの管理運営を担当していたため、都市と山間部の交流の場を持ち、かなりの実績を上げていた。今回の廃校活用は、更に都市と山間地域の交流を拡大するもので、積極的な受託対応があった。このことが事業推進の大きな原動力となった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION