また、夏の参加の後で当館のボランティア事業に参加する者もあり、やがて久木野地区への移住者が現れるものと期待できる。久木野住民にとっても、きつい労働をわざわざ遠くから体験しにくる人が存在するということは驚きとともに受け入れられ、新規就農者や就林者の受け入れの素地作りに貢献している。
デカップリング制度については、棚田や森林に触れた後では受け入れてもよいという意見が大勢を占めた。
4. 交流事業の問題点と今後の展望
参加者に対する技術指導者の人件費、参加者の保険代などは市役所からの補助があり助かっている。必要な道具類も市役所の補助で揃えた。これを参加費で賄うのは無理なことと思う。今後も継続してほしい点である。
新規居住希望者を受け入れるために、当館では空き家を1軒借りていて、棚田を耕す気のある人には家賃無料で住まわせており、これまでに東京から一人移住者があった。この家と当館でのアルバイトで数ケ月の間生活することはさほど難しくなく、本格的な引越しの前の体験居住が簡単にできる条件を提供している。
今後は、とりあえず住める家をもう少し増やしていけば新規居住者も増えていくことと思われる。同時に、当館の活動を通じて副収入を得る機会(農産物の販売・加工材料として買い上げ・パート就労)を提供することにより、定年後のUターン(主たる収入は年金や退職金で、農業は副業)を積極的に受け入れ、60代がいきいきと百姓や山師として生活するむらづくりを目指したい。