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事例36 愛媛県・広田村(人口1,236人 面積44.37km2)

〜広田村山村留学〜

 

1. 交流事業の契機

山村留学制度を導入している高市小学校は、広田村西部の小集落地域に存する。

この地域では、人口も昭和35年頃には624人を数えていたが、現在では、戸数90戸、250人にまで減少しており、典型的な過疎の地域である。

また、小学校の児童数も当時は119名が在籍していたが、平成3年にはわずか4名にまで減少し、一つの学校としての運営が困難な状況となり、周辺の小学校との統合が検討されるようになった。

しかしながら、明治22年の創立という伝統のある小学校であり、また、地域文化の拠点でもあるこの学校の灯を消すまいと、高市地域の住民が一体となり、都市部からの留学児童の受け入れによって学校を存続させようと、積極的な運動を展開し、村にも要望書を提出するなど、住民主体の熱意と努力により、平成4年度からこの制度がスタートすることとなったものである。

 

2. 交流事業の効果

平成4年4月に29名の留学児童の受け入れでスタートしたこの制度により、当初は緊張感を持っていた地元の児童も、歳月を重ねるごとに留学してくる友達を心待ちにし、温かい気持ちで迎えるようになり、忘れかけていた子供の歓声が村の谷間にこだまし、地域に活気が甦ったことで、学校教育はもとより、地域の活性化にも大きな効果をもたらしているものである。

特に、広田村の大自然の中で、地元児童と留学児童が衣・食・住をともにし、日常の生活を通して、地域の文化や歴史を学び、遊び、楽しむことにより、お互いに刺激を与え合い、何事に対しても興味・関心を持って積極的に取り組むことで、健全な人間関係、信頼関係が築かれていることは誠に喜ばしいことである。

 

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広田村山村留学センター

 

3. 交流事業の問題点と今後の展望

現在のところ、1年間のみの留学を希望する保護者、児童が大半を占めており、小学校6年間の義務教育課程を見通した、継続的な学習指導が困難な状況となっており、今後は、2〜3年間を単位とした留学期間の設定等について検討を要するものと考えられる。

また、日増しに高齢化、過疎化が進行しており、今後ますます地元の児童が減少することが予想されるため、村としても、従来はパンフレットや新聞、口コミで実施していた募集方法に工夫を加え、留学生制度のメリットやその内容についてのPRに更に意を用いるなど、積極的に留学生の確保を図り、更なる地域の活性化のためにも、この制度を存続・発展させたいと考えている。

 

 

 

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