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事例35 徳島県・大井川町(人口5,473人 面積44.50km2)

〜自然と人との共生を目指す「大学の森」〜

 

1. 交流事業の契機

平成7年1月17日未明に発生した阪神・淡路大震災で被災し、下宿を失った大学生に対して、全国大学生活協同組合連合会は、仮設学生寮を建設し、運営してきた。その際、三好郡の林業関係者が、間伐材を利用した組立式のログハウスを仮設寮として提供し、その加工や組立等に当たっては、都市、山村を問わない多数の学生や住民ボランティアの善意が寄せられた。

この復興支援の一端が契機となり、ボランティア精神の継続と、都市と山村との交流を目的に、大学生協連と三好郡との「森林ボランティア交流会」が毎年開催されるに至った。そして、この震災ボランティアとその後の林業体験を含む交流で生まれた「想い」を広く継承し、育んでいくための「形」として、運営母体となるJUON NETWORKが設立され、その活動の「場」としての「大学の森」構想へと繋がっていった。

 

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林業体験のひとこま(大学の森にて)

 

2. 交流事業の経過・概要

JUONの活動は、都市と農山村とを全国規模のネットワークを活かして結び、環境の保全改良、地方文化の発掘と普及、過疎問題の解決に取り組むこと等を目的とし、各地域で農山村の活性化や森林を守ること、これらの取り組みを行うことに関心を持つ学生、社会人、団体および大学生協連が中心となって組織された。本年4月のネットワーク設立以降、JUONでは「大学の森」と並行して、廃校の校舎を使った神泉村(埼玉県)・利賀村(富山県)の両セミナーハウスの活用、畑野町(新潟県)の文庫建設事業、三好郡内の間伐材の端材を利用した割り箸を福祉施設で製造し、各地の大学の学生食堂に普及させる活動等に対する支援が行われている。なお、大学生協連は、学生を中心として全国に百ニ十万人の会員を擁している。

「大学の森」は、井川町と接する西祖谷山村に位置し、渓流沿いにカラマツ・スギ・ヒノキ・広葉樹が混生する約3haの自然環境に恵まれた場所にある。また、近郊には昨シーズンにリニューアルオープンした井川スキー場腕山があり、スキー場施設を現地事務所として活用している。

このようにして、三好郡8町村の協力のもと井川町が誘致し、都市と山村相互が協力協定を結んだ活動の「場」が整備され、今夏には、「四国のへそ森林の楽校(もりのがっこう)」を中心とする森林・林業体験が実施された。

 

 

 

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