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事例30 広島県・吉和村(人口861人 面積145.69km2)

〜魅惑の里 農林業体験交流〜

 

1. 交流事業の契機

吉和村は他市町村との合併や区画変更もなく、現在に至っている。現在の人口は870人。小学生47人、中学生21人、65歳以上の高齢者328人と、超高齢化・少子化社会の真っ只中にある。

しかし、本村は深い森林に囲まれた豊かな自然資源を有し、また、各種の観光施設や中国自動車道をはじめとする広域交通体系が整っていることから、入り込み観光客や別荘所有者が年々増加している。村としては、本村を訪れる人を交流人口として捉え、受け入れ体制の整備とともに、交流事業の充実と交流活動を積極的に進め、交流の輪を広げていくことで、地域の活性化を図ることを目指している。

吉和村では、都市と農村との交流の拠点として「魅惑の里」を整備している。「夏山・ふるさと体験交流会」も、魅惑の里で行われる農林業体験交流事業の一つである。また、今年度から、「都市農村交流スタッフ受け入れ事業」をはじめた。都会の人に1年間、村の住民となってもらい、様々な体験学習を行いながら、本格的な交流活動を繰り広げている。

 

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ツリーハウスづくり

 

2. 交流事業の経過・概要

平成7年度から、村では太田川流域森林整備センターと共催で、太田川源流域の優れた自然と森林資源を活用し、都市と農村の子供たちが一緒に交流しながら自然とふれあい森林のすばらしさを体感し、森林への理解を深め林業へ関心を持つことを目的に、村の交流施設である「魅惑の里」で合宿を行っている。

この交流会の体験学習内容は毎年盛りだくさんで、講師である森林インストラクターと担当職員が知恵をしぼり、アイデアを出し合っている。1年目は、枝打ちや炭焼き体験で、自分たちが焼いた炭でバーベキューも楽しんだ。2年目は、光合成や木の呼吸についての実験や川遊び、3年目は、太田川の源流を訪ねる夏山登山を行った。また、今年は、自分たちで材料を運び、木の上に本物の小屋を作った。材料集めや製材には、地元の林業研究グループのメンバーが協力した。子供たちに本物の体験をしてもらおうと、地元や県内の専門家に協力いただいていることも、この体験学習の自慢の一つである。

宿泊や主な活動は、魅惑の里の各施設を利用して行っている。夜はホタル観察や星空観察会なども行い、都会では体験することのできない内容豊富で充実した体験学習となっている。

 

 

 

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