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事例29 岡山県・有漢町(人口2,914人 面積46.69km2)

〜風を集め、風をおこすまちづくり〜

 

1. 交流事業の契機

澄みきった空気と緑鮮やかな美しい山々に囲まれた我が町は、古くは教育文化の村として栄え、優秀な人材を数多く輩出し、多くの文化遺産にも恵まれているが、人口の流出、産業の停滞等による過疎化、高齢化が進んでいる。

そのような状況の中で、平成5年に、町長の諮問機関である有漢町むらおこし事業研究推進委員会(町内の若年層中心に構成)の答申を受け、「風」をテーマにしたまちづくりがスタートした。折りしも、中国横断自動車道の開通により、太平洋と日本海が一本のハイウェイによって結ばれようとしている時期でもあり、そのほぼ中央に有漢町が位置することから、人・物・情報の交流拠点としての「うかん」をアピールし、「風を集め、風をおこすまちづくり」に取り組むこととなった。

 

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うかん常山公園「風の舞台」

 

2. 交流事業の経過・概要

その手法として、風を集め風をおこしていくシンボル『石の風ぐるま』を設置した『うかん常山公園』を、有漢インターチェンジ近くに平成7〜8年度で整備した。

この公園の目玉は、緑の芝生広場(4,000m2)に石の風ぐるま7基を配した“風の舞台”で、人々はそれぞれに、優しい風を受けて回る風ぐるまに思いをはせ、自然を体感できる心地よい空間である。

平成9年4月に公園はオープンしたが、オープン前から、一般開放していないにもかかわらず、石の風ぐるまのユニークな風貌と、“石の羽根が自然の風で回る”ことが注目され、口コミで町内外から多くの人が訪れ、現在も見学者が後を断たない状況にある。

この常山公園を会場に、ほとんどの地域住民の参加のもと開催された交流イベント「風と星空のファンタジア96inうかん(平成8年11月)」、「風ぐるまフェスタ97inうかん(平成9年11月)」には県内外から、それぞれ5〜6万人もの人が集まった。有漢町のイメージアップを図るとともに、広域的な交流促進を目的としたこのイベントについては、単なるお祭り騒ぎに終わることなく、ゆるやかに回る石の風ぐるまに見守られながら、高知や愛媛、熊本からパネラーを迎えてシンポジウムを開催し、それぞれのまちづくりの事例発表を行う等、遠くからの“風”を集め、交流活動をより具現化することができている(平成10年11月にも開催)。

また、公園の利活用については、一般の観光客へ無料開放する一方で、地元の有志によるフリーマーケットが週末に開催され、特産品や農産物加工品が即売されており、都市との交流に一役買っている。同時に、それに関連して、特産品開発や農産品加工研究について気運が高まっている。

 

 

 

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