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・そば畑オーナーは、そばの里のPRと、そば作りの農業体験を通して都市住民との交流を図るため、一区画50m2で募集した。オーナーは、8月中旬の播種、11月上旬の刈取り、12月上中旬のそば打ちを体験できる。この内容で初年度(平成7年度)には150オーナーが岡山県南部を中心に、関西方面からも集まった。現在でも約100のオーナーが集まっている。

・そば畑立札コンクールでは、そば畑オーナーが自分の区画にそれぞれの思いを込めた立札を立てた。初年度に余りにもユニークなものが多かったことから、コンクールにしてはどうかと、平成8年度から開催した。入賞作品、記念品贈呈、作品展示は新そばまつりで行っている。

◆『そばの味づくり』としては、そば加工研究会の結成、ニ八そばの開発、そば打ち体験道場を通じて、伝統の味・ふるさとの味をキャッチフレーズに販路の拡大を図った。

・そば加工研究会は、そばが減少してそば打ちが寂れる中で、地域女性を中心に、そばの味の発掘・伝承と、現代的な新しい加工・地域の味づくりを目的に結成された。現在ではそば茶、そばかりんとう等の商品化に成功している。

・ニ八そばの開発では、本場群馬県よりそば打ち名人を招き、二八そばの打ち方研修を行った。平成7年5月オープンのそば道場“田舎屋”のそばは、地元産のそばにこだわり、製粉機でそば粉を挽くと熱が加わり風味が変わるため、本格的石臼を導入し、そば本来の風味を保ちながら製粉する手法で行っている。

・そば打ち体験道場では、石臼で挽いた本物のそば粉を自ら職人気分で練って打ち、その場で食べられることから、連日親子連れやグループでにぎわっている。

 

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そば打ち体験道場「田舎屋」

 

3. 交流事業の効果

こうした事業に取り組むことにより、地域内におけるそばの栽培面積が拡大し、各種そばを利用した加工品等も作られ、地域特産品としての位置づけが確立してきた。また、秋には白い可憐なそばの花が咲き、田舎らしい風景を取り戻すことができ、それを目的とするカメラマンの姿も見られるようになり、観光地としての魅力アップにつながった。この事業の本来の主旨である都市との交流についても、そばオーナー制度やそば打ち体験等により活発化し、都市との交流のなかで、地域の活性化と地域農業の振興が図られている。

 

4. 交流事業の問題点と今後の展望

そば畑オーナー等の推進協議会の活動とそば打ち体験道場“田舎屋”の組み合わせにより、都市住民等との交流が増加するなど一定の経済効果をもたらした。しかし、若者等の就業の確保や定住には至っていない。今後、カルスト台地特有の地形を活かした環境整備を進めると共に、周辺施設との連携によるグリーンツーリズムや観光等の振興に努める必要がある。今後更に草間地域特有の味を出せる『そばの里づくり』を進めていく。

 

 

 

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