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何故、山里なのに山菜料理や漬物ではないのか。山里だからこそ、お年寄りはダンディーに生きなければと、爺婆の働き場にハムやパンを取り入れたのである。更に、町民に対して新しい足助の味を紹介するためでもあった。商品はレストランでも使われ、その話題性と本物の味が好評を得たのか売上げは上々で、足助の新しい特産品となっている。

 

3. 交流事業の効果

年々「百年草」の利用者は増加し、今では20万余の方々が訪れる施設となった。訪れた人は、今までの経験を生かしてテキパキ働くおじいちやん・おばあちゃんの姿を見て、現代人が忘れかけている<ものを作る喜び>(=ものを大切にする心)を思い出し、素敵に歳を重ねる方法を知る。そしておじいちゃん・おばあちゃんは、訪れた方に「頑張ってね」と声をかけられたり接したりすることにより、更に若々しく楽しく生きがいをもって働ける喜びを得る。このような交流により、お互いが刺激し合い、1+1が3や4になる相乗効果を生んでいる。

 

4. 交流事業の問題点と今後の展望

現在「百年草」の利用者は、健康な高齢者や観光客が中心となっている傾向にある。今後加速度的に進んでいく高齢社会に対応するため、交流の機会をなかなか得られない虚弱老人等に対するサービス(特に交流による生きがいづくりの機会増)の、より一層の充実を図りたい。また、お年寄りの就労の場ができたといっても、ほんの僅かである。更に充実した就労の場の確保と、女性の働き場の創出も必要である。山里足助に暮らす豊かさを求めて世界を視野に入れた事業展開、都会人のリハビリ機能を持たせた施設とし、真に様々な人がワイワイがやがやできる交流事業へと展開していきたい。

 

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「足助ハムZiZi工房」と「Bakeryバーバラハウス」(百年草パンフレットより)

 

 

 

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