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事例22 静岡県・南伊豆町(人口10,544人 面積110.58km2)

〜海中クリーン作戦〜

 

1. 交流事業の契機

伊豆半島最南端に位置する南伊豆町は、長い海岸線に恵まれ、豊かな海の恵みを受けている。しかし、近年、海洋資源の減少や海洋汚染にさらされ、海の恩恵を受けてきた漁民も高齢化や後継者不足などによる生活不安を感じており、また、海洋レジャーを求めて海に向かう若者と漁業者との間でトラブルが発生するなど、海をとりまく環境が大きな転換期を迎えようとしている。

このような状況を踏まえながら、「全国水産業振興対策協議会」(全国の6百余の町村で構成)で、平成6年2月に「海をきれいにする運動」の展開を申し合わせたことを受け、また、平成5年度に誕生した「南伊豆町マリンスポーツ振興会」(町内の漁業関係者及びマリンスポーツ愛好家で構成)から提案された、環境を守りつつ美しい海を活かした地域振興策等とも合致することから、全国に先駆けて、県内外のスキューバダイビング愛好者の協力により海中清掃を行う「海中クリーン作戦」を、平成6年度より毎年実施している。

 

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清掃作業を終えて港に戻ってきたダイバーたち

 

2. 交流事業の経過・概要

事業の推進に当たっては、漁業協同組合とマリンスポーツ振興会に協力を求め、事業内容について検討している。この作戦には、町、漁業協同組合、マリンスポーツ振興会、地元住民、その他関係団体及びマリンスポーツ振興会を通じて募った関東・東海各都県のスキューバダイビング愛好者など毎年数百人が参加しており、官民一体の大規模なイベントとなっている。

なお、ダイバーたちは交通費、宿泊費を自己負担してのボランティアである。

「青く豊かな海、美しい浜辺、それは人類共通の貴い財産であり、この大切な海を慈しみ、守り、後世に伝えることは、今に生きる私たちの尊い使命である。この認識のもとに『南伊豆町海中クリーン作戦』を実施する。」をスローガンに、開会式終了後、ダイバーは地元遊漁船に分乗し、事前調査でゴミが多かった清掃ポイントへ向かい、目的地に到着すると5〜6人のチームに分かれ潜水し、約40分間にわたって海底に散乱した釣り糸や錘、網、空き缶などを回収する。

夜には労をねぎらって漁村と都市との交流会を地区集会所において盛大に開催する。

翌日も作戦を実施し、また同日早朝には、海岸付近の地元住民が総出で海岸一帯のゴミ収集を実施し、環境美化を図っている。

閉会式終了後、海岸で参加者全員が昼食の海賊バーベキューに舌鼓を打ち、クリーン作戦の成果と海の話で盛り上がり、和やかなうちに終了する。

 

 

 

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