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事例9 岩手県・花泉町(人口16,743人 面積126.83km2)

〜金沢小学校・市谷小学校 ふるさと交流推進事業〜

 

1. 交流事業の契機

昭和62年6月、東京都新宿区立市谷小学校の教員が、食文化・伝統に関する教材開発を進めるため、餅米の産地である花泉町の餅文化の調査を実施するため、花泉町立金沢小学校を訪問した。このことが縁となって、両校の社会科の授業として「餅文化と稲作」をテーマとした研究が進められることとなった。(この研究成果は、岩手の農と食を見直す絵本1) 「どうしてもちをたくさん食べるの(農山漁村文化協会刊)」により、広く紹介されることとなる。)

相互での研究が進むなか、情報交換だけではなく、両校児童の作品や手紙の交換が行われるようになった。その後、互いの生活や文化を実際に体験させたいとの気運が盛り上がり、昭和63年8月に市谷小学校の児童9名が金沢小学校を訪問、翌年3月には金沢小学校の児童17名が市谷小学校を訪問し、両校児童の相互交流が始まった。以来、夏に花泉町で、翌春に東京での交流が始まり、今年で11回を数えるまでとなった。

 

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イワナつかみのあと塩焼きし、楽しい昼食

 

2. 交流事業の経過・概要

初回の訪問を機に市谷小学校PTAでは、交流事業についての共通理解を深めるとともに、その必要性について等活発な話し合いをもつことにより、PTA事業としての位置づけを徐々に高めていく事となった。開始時には有志により展開していた交流を、PTAの主要事業に位置づけ、交流委員会を組織し運営にあたるまでとなった。このような背景もあり交流参加者も年々増加し、今年は過去最高の47名が花泉町を訪問することととなった(市谷小学校では、毎年定員を上回る希望者のため、抽選により参加者の決定を行っている)。

一方の金沢小学校では、5学年PTAが中心となって実行委員会を組織し、交流の運営にあたっている。市谷小学校への訪問は5学年児童全員(30名程度)が参加し、都会生活の体験をしている。

交流事業の内容については、花泉町訪問では児童宅のホームステイを中心とした田舎体験を実施し、2泊3日の目程で餅つきや野菜収穫、魚つかみやキャンプなど花泉の夏を過ごしている。また市谷訪問は、同様にホームステイをしながら東京ドームでのナイター観戦や大手企業訪問等都内の施設見学をおこなっている。

 

 

 

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