日本財団 図書館


事例5 北海道・浜頓別町(人口5,026人 面積401.56km2)

〜豊寒別小学校の山村留学〜

 

1. 交流事業の契機

北海道の最北端宗谷支庁の南部に位置する浜頓別町は、前出の猿払村の南に位置する。

オホーツク海に面し、厳冬期には流氷が接岸するが、その際運ばれてくるプランクトンは、鮭、毛ガニ、ホタテ貝などを養い、良質の海産物に恵まれている。また、稲作の北限を越えているため、農業は酪農中心であり、約8,000頭の乳牛が飼育されている。昭和39年をピークに人口は減少の一途を辿り、事業所の閉鎖や鉄道の廃止により平成3年に過疎地域として追加公示されている。

昭和35年時点で小学校は18校あったが、現在では6校に減っており、人口の減少に伴い、更に減ることが懸念されている。豊寒別地区は同町の中心部から車で約10分、酪農と漁業を併せ持つ40数戸の小さな集落であり、離農等により過疎化が急速に進んだ地域である。

山村留学制度は、豊寒別小学校の全面改築を求める運動の中から生まれてきた。「年々児童が減少するのになぜ今改築が必要なのか」という活発な論議があったが、地域の活性化のためには、小学校の維持発展が不可欠との立場で論議を積み重ね、児童数の減少に歯止めをかけるため、定住留学を柱とした山村留学を取り入れることとした。

 

2. 交流事業の経過・概要

浜頓別町で山村留学を受け入れているのは、平成7年5月に発足した豊寒別地区の大半の住民で組織する「北海道北オホーツクの大自然で学ぶ会」(小川文夫会長)である。

受け入れ先の豊寒別小学校は2年前に新校舎が完成し、現在、全校児童18人のうち留学生が12人を占める。留学生は、北海道内、東京都、神奈川県、大阪府、徳島県など全国各地から来ている。

浜頓別町の山村留学の特徴は、宅地2,000坪を無償提供する「定住留学」をはじめ、児童だけが留学する「里親留学」のほかに、子供と保護者(父または母)が一緒に留学する「親子留学」の3つの留学制度が設けられていることである。

関東、関西のマスコミ訪問や街頭キャンぺーンを行なったり、体験留学を実施するなど活発な募集活動を続けており、現在、定住留学で3家族4名、里親留学で3名、親子留学で3家族5名の児童が移り住んでいる。平成10等1月には、阪神大震災の被災者も西宮市から里親留学している。

 

242-1.gif

大自然の中で学ぶ山村留学生たち

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION