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事例2 北海道・沼田町(人口4,532人 面積283.21km2)

〜全国明るい雪自治体会議(雪サミット)〜

 

1. 交流事業の契機

沼田町は、北海道空知支庁の北部に位置し、基幹産業である農業は稲作を中心とし、全道でも良質・良食味米の産地である。また、当町は豪雪地帯対策特別措置法により特別豪雪地帯にも指定される豪雪地帯であり、冬の間の経済活動の障害となっており、住民の生活にも阻害要因となっていたのであるが、雪国の地域特性を活かしつつ産業の振興を目指す努力を続けてきた。

平成8年に完成した米殻低温貯留乾燥調製施設(愛称:スノークールライスファクトリー)は、当町の道路や駐車場などから除雪された有り余る雪を利用した施設で、収穫したコメを籾のまま、雪の冷熱エネルギーを活用して貯蔵するものである。コメの貯蔵は梅雨明けに劣化が進むとされていたが、真夏においても5℃という理想的貯蔵温度帯で保管できるので、劣化を防止できるものである。

本施設の完成・供用を契機として、全国の積雪地帯の市町村に呼びかけ、平成10年度に「全国明るい雪自治体連絡協議会」が発足し、今後とも毎年サミットを開催することとしたものである。

 

2. 交流事業の経過・概要

平成10年7月6日(月)・7日(火)に沼田町町民会館他を会場に開催された。

当日は、堀達也北海道知事、新山惇北海道開発庁事務次官、通産省資源エネルギー庁の桜井産炭地域対策室長が来賓として出席、また北海道はもとより、東北や上信越などの積雪地帯の市町村の首長の他、経済団体等から約650名が出席した。

1日目は、町の米殻低温貯留乾燥調製施設を見学した。同施設は本サミット開催のきっかけとなった施設であり、冬のあいだに貯蔵した1,500トンの雪で、2,500トンのコメを、温度5度、湿度70%で低温貯蔵するものである。参加者はコメ貯蔵庫や貯雪庫等に入り、同施設に保管された「雪中米」を使ったおにぎりを振る舞われ、新米に劣らない食味を堪能した。

2日目は開会式に続き、全国の積雪地帯市町村の事例発表が行われた。

まず、山形県舟形町から『地球環境にやさしい雪冷房の導入について』として、雪を使った農作物の貯蔵実験や、雪冷房システムを町営の農業体験実習館に導入したところ、雪には除湿や空気清浄の効果もあることが確認された、という内容の報告があった。

二つ目に、新潟県安塚町から『雪国文化づくり』として、「雪の宅急便」や雪を使った地域づくりを研究し、Uターンにつなげている事例が報告された。

三つ目として、新潟県十日町市から『十日町雪まつり』として、昭和25年以来開催している雪まつりの経験が報告された。

四つ目として、北海道下川町から冬まつりの際に、氷の燭台で町を飾る『しもかわアイスキャンドル』誕生の経緯と、今後の方向性などが報告された。

最後の事例として、沼田町から米穀低温貯留乾燥調製施設によるコメの貯蔵について、『零温籾貯蔵』と題して報告された。

続いて、京都大学の嘉田良平教授による「日本の食糧安全保障と冷温穀物の備蓄」と題した基調講演と、「明るい雪社会への展望」をテーマとしたパネルデイスカッションが行われ、最後にアピールの採択や次期開催地の決定などが行われた。

 

 

 

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