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第5章 過疎地域活性化のための交流事例

 

事例1 北海道・黒松内町(人口3,620人 面積345.47km2)

〜ブナを生かしたまちづくりへの提言・参画〜

 

1. 交流事業の契機

過疎地域、山村地域、離島地域及び半島地域などの条件が不利な地域においては、都市部への人口の流出等により、経済活動の主力を担う農協、漁協、森林組合などと連携できる人材(スタッフ)が不足している状況にあり、地域活力が次第に弱くなっている状況にある。

また、ハード面では、国や道の補助制度を活用しながら地域資源を生かした特産品の生産・加工施設をはじめとする文化・スポーツ・交流施設、自然体験施設などの整備が進んでいるものの、次の段階に進むためのソフト面でのノウハウが不十分な状況にある。

こうしたことから、北海道では平成10年度からの新規事業として、地域が抱える様々な悩みや課題を直接的・間接的に解消するため、都市住民から実務経験豊かな人材を「サポーター」として広く募集し、その地域に滞在して地域の生活や地場産業にかかわる仕事を体験してもらい、地域経済の活性化を図るとともに、実体験を通した地域住民と都市住民との交流によって、農山漁村地域の振興を図るため「北の交流大使活用地域活性化事業」を実施する運びとなった。

具体的には、 1年間にわたって地域に滞在し、専門的な知識や経験を生かし、実務スタッフとしてコンサルティングなどの活動をしてもらう「コーディネート・サポーター」と、短期間の生活と作業体験を通して北海道のフアンになってもらい、第一次産業や農山漁村地域役割をPRしてもらう「ボランティア・サポーター」を募集し、受け入れを希望する市町村に滞在してもらう。

平成10年度は「コーディネート・サポーター」、「ボランティア・サポーター」として、それぞれ次の町村が受け入れを希望した。

 

<コーディネート・サポーター>

1) 檜山郡厚沢部町

農業活性化センターの機能強化・充実

2) 寿都郡黒松内町

ブナを生かしたまちづくりへの提言・参画

3) 虻田郡洞爺村

農産物を活用した地場産品開発及び起業化

4) 河東郡鹿追町

鹿内の販売促進・流通システムの確立

5) 標津郡標洋町

“釣り人の里”構想実現への提言・参画

 

<ボランティア・サポーター>

1) 利尻郡利尻町

昆布の天日干し及び回収

2) 標津郡標津町

サケの加工・製品化体験

3) 目梨郡羅臼町

水産物加工・製品化体験

 

このうち、本稿では、寿都郡黒松内町の「プナを生かしたまちづくりへの提言・参画」を紹介する。

 

2. 交流事業の経過・概要

黒松内町は、北海道後志支庁の南部、渡島半島の付け根に位置し、農業が中心の人口3,646人(平成9年8月現在)の町である。

 

 

 

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