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第4章 まとめ

 

1. 四全総及び新・全総(21世紀の国土のグランドデザイン)における交流の位置付け第4次全国総合開発計画(昭和62年6月 閣議決定「四全総」)は、開発方式に「交流ネットワーク構想」をとったが、その推進については、

1) 地域自らの創意と工夫を基軸として、地域の特性を生かしつつ、多様な方向で独自性を有する地域を形成する。(個性的地域整備)

2) 国自らあるいは国の先導的な指針に基づき、国内、国際間の人流、物流、情報流の円滑化のための基幹的な交通、情報・通信体系を整備し、全国一日交通圏、ランダムアクセス情報圏の構築を進める。(交流基盤整備)

3) 国、地方、民間諸団体の連携により、交流を促進する役割を果たすソフト面の施策を工夫し、文化、スポーツ、産業、経済等各般にわたる多様な交流の機会を形成する。そのための組織づくりを進めるとともに、地域の産業や交流事業に関するデータベースの充実とコンサルティング機能の向上を図り、情報や企画力の供給機能を充実する。(交流ソフトの開発、しかけづくり)

の3つにとりくむべきものとした。

人と人とのつきあいを深めていくためにも、何らかの魅力を相手に感じ、語り合う機会がつくられ、その道筋ができていることが必要である。人と人とのつきあいも地域と地域の交流も結局のところ、最も基本となるのは「個性形成」である。そして、この「個性」は、真似したもの、うわべだけのものでは通用しない。四全総とほとんど同時に成立施行された「総合保養地域整備法(リゾート法)」(昭和62年6月)に基づくリゾート建設が多くの地域で事実上失敗したことが、そのことを物語っている。リゾート法の本来の考え方はそうでなかったかもしれないし、バブルの影響も大きかったが、結果的には、金太郎飴と評されるような内容のものが多く、自然破壊を伴う割りには、地域資源の活用も不十分だという不評が強かった。

地域の住民が、「自分の町(村)はいい村だ。こんなよい点がある。」と誇れるような地域個性形成が、交流においても出発点であり、それは、四金総から平成10年3月閣議決定の「新しい全国総合開発計画」に移行した現在においても変わるところはない。

「新しい全国総合開発計画:21世紀の国土のグランドデザイン」(新・全総)は、経済的豊かさとともに精神的豊かさを重視し、多軸型国土構造への転換を訴えるとともに、四全総の「交流ネットワーク構想」にかわるものとして、「参加と連携」を打ち出している。この「参加と連携」は、住民、ボランティア、民間企業等多様な主体の参加を「交流ネットワーク構想」の実現のために呼びかけたものでもあり、交流の重要性や個性的地域整備等の必要性は、少しもかわるところはない。

 

 

 

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