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私はこの調査に歴史学者としてかかわらせていただきました。私自身は、古い時代を研究しているんですが、過疎地の問題というのは、今日の日本社会の最先端に位置する問題、課題であり、そういう現代史をやらないとほんとうの歴史にはならないんだということを、つくづく思いました。

柴田委員長 青野先生、お願いします。

青野委員 僕が行ったところは、たまたま多かったんだろうと思うんですけど、わりと小学生、中学生の交流というのが多いわけですね。これは、一つのあり方ではないかと思うんですけど。だから、直接に経済的なメリットがあるとかそういうことではなくて、そういう交流をした子供たちが大きくなって、自分たちの生まれ育ったところをどう考えるかということにつながるんで、これは30年単位ぐらいの事業だなという感じを受けました。ただ、その小・中学生が少なくなってきているということで、交流の主体といいますか、それがいなくなっちゃったらどうなるんだろうかなという、そういう心配は常に感じましたね。今いる小学生、中学生にこういう交流でもっていろいろな経験をさせて、視野を広げさす。それが自分たちの村とか町をまた見直すきっかけになっているという話をあちこちでも聞きました。そういう意味で、意識の中で確実に影響が出てると思うんですけれども。まあ20年、30年後に、そういう子供たちが、自分の生まれ育った村や町についてどういうことができるのかなという視点で行動し始めれば、その辺で結果が出てくるんだろうと思います。

長い視野で見ないと、小・中学生の交流事業というのはうまくいかないと思うんですけど、どこの町や村でも、ある意味では、子供に投資しておけばあまり文句が出ないという側面はあるんだろうと思うんですね。大抵の家には子供がいますから。子供に投資するというようなことでの、そういう交流事業というのは、大きな流れとして今後もあるんだろうと思いました。それに関しては、教育委員会や学校の先生方との関係とか、その辺をきちっとやっていかないとうまくないんだろうと思いました。大体、夏休み中にやることですので、学校のほうはかかわらない形でやっているのがほとんどですけど、村の中学生全員が行くことになるという南郷村だけは学校がかかわるという形になって、公務出張扱いで、教員が引率して行くという形式に今年からなったという話を聞きました。学校との関係、教育委員会との関係を、何かちゃんとする必要があるんだろうと思いました。

それから、どこでも予算的に国や県からの補助があれば、規模も大きくできるんだがということで希望していたのが印象的です。

もう1点、宮崎県の南郷村、それから東郷町のように、そこにはそこにしかない何かがあるという…、横田町の場合もそうだと思うんですけど、産業でもいいし、伝統でもいいし、そこにしかないことをもって交流するというのが、やはりうまくいくんだろうと思うんです。何もないところはどうすればいいかというと、それはまた別ですけど。

 

 

 

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