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柴田委員長 村井先生の石見町のハーブのほうは、何かあったんでなかったですか。

村井委員 これは、もともとは町長さんの奥さんがそういうハーブに興味を持っていたという、ある種の偶然に始まるんで、石見町にハーブが特別に関係があって栽培されるようになったということではないんです。全国から1年という期限で、6人の、22歳ないし35歳の独身の女性を募集して、宿舎を提供して、そして13万円を給付する。そのうち3万円は光熱費なんかにあてられるんですけれども、そういうふうにして、 1年間を通して栽培なんかをやるグループと、ハーブを使ってお菓子をつくったりするようなグループと。そういうことで、技術を教えながら、営業もしながらというふうなことなんですが。広島から浜田へ通ずる道路が開けたことで、香木の森と称しているハーブ園ですが、そこへたくさん女性なんかが訪ねてくる。ああいうものに対する興味が、最近、高まっているという時流にうまくのっかって、大変おもしろい試みがなされていると思いました。

その中の2人に会いましていろいろ話を聞いたんですが、彼女たちの明るい笑顔で、うまくいってるんだろうと感じましたし、それを教えてる先生方も大変熱心にやっておられて、香木の森もだんだん充実・整備されたハーブ園になってきております。最近は10日前後の短期の研修も年8回行っており、人数は少ないんですが、年間で16人ぐらいを教えているようです。

しかし、年数を重ねていきますと、いろいろ問題も出てきているようです。お金を出してよその人に教えるくらいなら、地元の人、地元の娘さんに教えたらどうなんだというような意見も出ているようですし、曲がり角に来ているのではないかというようなことを言っておられました。それから、早い時期の卒業生は、石見町の役場の職員とか、そしてこのハーブ園のことにかかわらせる…、職員に採用したりしておりますけれども、その受け皿というのはごくわずかですから、あとの卒業生はなかなかそういう機会はなくなって、多くは郷里へ戻っていく。郷里へ戻ってもそういう仕事を続けている者もあるようですが、また1年の在住期間に、町内の男性と結婚して住みついたというケースもあったようです。そのあたりが、採算性とか効果、効率性というふうなことが言われますと、ちょっと問題が生じてくるということがあるのかもしれない。やり方そのものはうまくいってるとしても、そのあたりでしょうね。

 

 

 

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