青野委員 まあ、そうですね。これは、ふるさと創生基金を使っての人材育成事業として、4名ほど、昆虫に興味がある人をフランスのファーブルゆかりの地に派遣したのが始まりです。そして、帰ってきてからファーブル友の会というのをつくって、そしてファーブルの森づくりに取り組むということになったんです。現在は転機にさしかかっているようで、これでしぼんじゃうか、あるいは別の展開をするかというところです。「ファーブルの森づくり」を掲げてますが、休耕田2反余りを購入しまして、そこで自然観察会を開いているというのが実態です。そこにハッチョウトンボが帰ってきたと喜んでいます。田舎でも虫がいなくなってる。以前には、虫が住んでる田舎が過疎地と言われましたかね。今は、虫も住まない過疎地になっている。山には杉が植えられてしまっている。闊葉樹ばかりのところには小動物もいるし昆虫もいっぱいいるのに、みんな杉になったためいなくなってるということもあるんです。あるいは、水田化されてしまったために。それを逆に戻そう、過疎地に自然をとり戻そうということなんです。まだ、たった2反余りなんです。1つの谷ぐらい、全部押さえてしまえばおもしろいんですけどね。そんな大それたことじゃなくて、まだ、たかだか2反余りなんです。山の中で600坪ってほんとうに小さいですね。それで森をつくろうということで、ある意味じゃ自然のままに任せていて、1年に3回ほど、子供たちを集めていろいろ観察をしたりという場になっているようです。
この「ファーブル友の会」の事務局長は専任じゃなくて、地元の地域振興公社(第三セクター)の事務を行っている男の人がやっています。その第三セクターは富士町の町長が理事長なんですけど。その人がその役をやめてしまったら会の活動が終わるようなことになってしまうので、その人としても、役を降りる訳にはいかない。町長がこの運動に理解があるんでやっていられるという形です。第三セクターが今年から昆虫スタンプラリーを始めているんですけど、ファーブルの森の運動とは直接関係ない。町の北部にあるダム湖の北山湖の周りを巡ってスタンプを集めると記念品がもらえるというのです。「ファーブル友の会」は、会員が200名ぐらいです。町内外あわせて。会の活動としては、観察会、それから会誌の発行(年2回)、ことしから日仏共同事業となったんですが、ファーブル大賞という、昆虫についての絵とか写真とか、模型とか、観察記録とかを広く募集して、その中から優秀作品を選んで表彰することをやっています。
ひとつ、大ごとなのは、この会がフランスの「ファーブルの友」のお墨つきをもらっているものですから、フランスの会からは、日本の会は何をやってるんですか、ちゃんとやってくださいよという風に見られているみたいで…。(笑)事務局長をやめちゃうわけにいかないんですね。「ファーブル友の会」の日本支部のようなことで、引っ込みがつかないわけですね。フランスから関係者が来たら受け入れてるんですが、日本の会が大々的な運動をやってるのかと思ったら、そうでもない、ということになってしまっている。ですから、どういうふうに今後の活動を展開するかについては、フランス絡みになってしまってて、むしろ大変だなという感じです。施設としては、その2反余りの湿田があるだけで、会独自の昆虫館があるわけじゃないし。