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太田委員 これはおもしろいです。子供がターゲットですね。なぜこの常葉町がカブトムシかといいますと、ここは全国有数の葉たばこ生産地なんですね。カブトムシというのはナラとかクヌギに好んで産卵するんだそうですよ。それで、葉たばこの育苗というんですか、これもナラ、クヌギの腐葉土を利用してやる。そうすると、自然に、労せずして幼虫がどんどんとれちゃうわけですね。だけど、一種の害虫なんですね。従来はほとんど捨ててたわけですよ。

ところが、カブトムシというのは子供のアイドルですからね。それで捨てるのはもったいないというんで、あるところで売ってみたら大好評だった。それで、これは利用しない手はないということで、葉たばこ農家が460戸あるんだそうですが、1戸あたり平均の幼虫捕獲数が350匹。それで、全体で16万匹になるんですね。1匹30円としても、10万匹だと300万円が農家の収入になる。これは大変なことだっていうんでやり始めたんです。カブトムシの常葉町という感じで、実にさまざまなことをカブトムシを利用してやってるんですね。三セクの振興公社なんかもつくりました。カブトムシ自然王国の独立宣言なんかもやってるんですね。子供のカブトムシ探検隊の受け入れとか、それから世界の甲虫3,000種類を展示するカブト屋敷なんかもつくってましたね。カブトムシをフルに活用して、それで地域にカブトムシ効果というんですか、活気が出て、地域の人たちが自分の地域の再発見、自信と誇りを持っているというカブトムシ様々の話なんです。ただ一つ、カブトムシは短命で、夏の間、1〜2週間しか生きられない。通年性がないんですね。これが問題で、何とかならないかということなんですが。同じ甲虫でクワガタムシというのがいるんだそうですね。これは7年間生きられるんですって。これを開発すれば、さらに強力な武器になる。カブトムシ+クワガタムシ戦略で、今、開発中のところらしいです。

ともかく、ここはカブトムシという決め手を持つのが強みですね。子供がターゲットですが、ただ子供だけじゃなくて、子供は1人で来られないですから、必ず親がついてくる。大体母親でしょうけど。そうすると、母親が一緒についてきたことで、そこから幅広い交流が始まるというところまで読んでやってますね、ここは。そういう意味では、なかなか高等戦術で。

女性も、これは交流の主役ですよね。女性が元気でうまくやってるところは、大体地域づくりもうまくやってるところが多いわけですけれども、女性をうまくカブトムシ戦略に引き込んだ。女性といえば、井戸端会議という言葉があるぐらい、あれは交流の原風景ですからね。(笑)それをうまく巻き込んで、子供と女性をターゲットにした交流として非常におもしろいと思います。

柴田委員長 青野先生の行かれた佐賀県の富士町のファーブル友の会というのも、やっぱり子供目当てなんですか。

 

 

 

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