最初の1、2回は、近くの大学の映研なんかに参加を求めてやったらしいんですけど、3回目ぐらいから、地元佐賀県出身の映画評論家の西村雄一郎さんという方がリーダー的な存在になりまして、毎年テーマを決めてやっています。多いときは5,000人近く来た年もありましたけど、平均して3,000人ぐらい。まあ、成功していると言えるんですけど、地元の人の要望から離れてしまったようで、むしろ映画好きな人の間には定着しているようです。かなり遠くからも来るようですけど。地元の普通の人たちは、何をやってるのかなという感じで、地元民との交流という点では、特定の人たちだけですね。「シネマクラブ富士」という映画好きの地元青年のクラブがあるわけですけど、その人たちだけになっているような感じです。その人たちもそのことを意識していまして、自分たちの手づくりだった映画祭がそうではなくなっちゃっているという感じです。ですから、地元の温泉旅館なんかも最初は熱心だったんですけど、ほとんど手を引いてしまっているようです。補助金を町が200万ぐらい出しまして、あとの400万は協賛金とか参加費で賄っているようです。ですから、長く続いているから成功していると評価していいのかなと思うんですけど。外国映画は賃借料が高いので日本映画に限ってるんですけど、映画監督や俳優なんかも来て講演会やシンポジウムなんかもやっています。
柴田委員長 かなり大がかりなんですね。
青野委員 映画に興味ある人はおもしろいと思うんですけど、地元の人にとってみては、自分たちが見たい映画でないのをやってるということのようですね。ですから、こういうのをどういうふうに考えていいのかという感じを受けました。その映画祭自身はもうずっと続いていて、毎年やってます。ただ地元の青年たちに…、青年といっても年取ってきてるんですけど、かなり負担がかかってるようですね。
それから、もう1つイベントがあります。隣の三瀬村で、「都会(まち)と田舎(いなか)のふれあいまつり」というのをやってます。これは、かつて農業祭というのがあったのを切りかえまして、これも59年からやっています。この村は、北にトンネルが福岡市に抜けまして、村の中心から福岡空港まで40分くらい、もうほんとうに近くになりました。この祭りでは、10月の下旬の土・日の2日、即売会も含めたさまざまな催しをやっています。大体延べ1万人ぐらいが来る。車で来るのがほとんどです。村役場の前の広場でやっているものですから、それほど広いところじゃない。福岡市の人で1回来た人は、ああ、またこの祭りがあるんだというのでリピーターとして来ているんだろうと思うんです。繁留バルーンに乗ることができたり、餅つきをやってみたり、都会の人から見れば、子供たちもおもしろいというようなことで来るんじゃないかと思います。村を挙げてやっているようです。これは、かなり定着してるなという感じです。
柴田委員長 映画祭で言えば、同じ九州でも湯布院の映画祭というのは、これまたすごく有名ですよね。