■イベントを通ずる交流
柴田委員長 それからイベント、これもある時期、イベントというのは大はやりで、ただ北海道で食の祭典が大失敗したあたりから、冷水がかけられちゃったような感じがあるんですけれども、小さな村でイベントをやっていって、それが大成功しているというのが、今回の調査対象には残念ながら入っていませんが、例えば富山県の利賀村とか、あるいは草津(温泉)町とか、いろいろあるわけでございます。今回も、イベントをやっているというのが随分ございました。世界的にも、例えばザルツブルクの音楽祭だとか、あるいはカンヌの映画祭だとか、そういった場合、町は決して大きくないんだけれども、それで非常に有名になっている市町村というのがあるわけですね。国土庁なんかでも、小さな世界都市を目指せというようなことをよく言っておられるわけですが。その意味で、イベントが幾つか上がっていたんですが、まずこの点は、また小田切さん、恐縮なんですが、北海道でいろんなことをやっているようでございますが、何かお話をいただけませんか。
小田切委員 私は、北海道で2つの町村のイベント等の事例の話を聞いてきました。両者を比較するわけではないですが、見比べてみますと、非常にそれぞれに特徴があるイベントです。
まず最初に、女満別町の音楽イベントなんですが、これは小林研一郎さんという世界的な指揮者がいらっしゃるんですが、その方の指揮法に関するセミナーを女満別町で開くということを昭和58年からやっております。指揮法そのものを教えてもらうという機会はあまりありませんので、このイベントを目指して全国から、その期間は人が集まるということです。そういう意味では、全国的な売り込みを見込めるイベントということがあります。
その一方で、地域の中でそれを定着させたり、理解をしてもらうということでは悩んでいる部分もあります。ここ数年の間では、例えば指揮法だけではなくて世界的な管弦楽団のメンバーを呼んで町民向けにコンサートを開いたりとか、あるいは学校の吹奏楽団向けに指導をしたりというふうなことをやっているというお話です。
もう一方、北海道の下川町ですが、これはイベントと言えばイベントになるんでしょうけど、もともとは町民向けの活動が、たまたまマスメディアに取り上げられて、それで人を呼び集めるようになったというケースです。もともとはイベントをやろうということで始めた話ではなくて、「ふるさと運動」というふうに町では呼んでいますが、町民向けに自分たちの町を見直してもらおうということで始めたものが、この万里の長城づくりというイベントです。農地開発をして、そこから出てきた石をどういうふうに活用しようかということで、たまたまそのときに…、これもたまたまなんですが、職員が万里の長城へ視察に行ったと。それを見て、うちの町でも何かできないだろうかというときにたまたま石があって、じゃあ、それを、グラウンド整備をしたんですが、その周囲に積んでしまおうということで始まったのが、この万里の長城づくりです。