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最近ではグリーン・ツーリズムの振興ということも叫ばれておりまして、過疎地に長期滞在するような方策も進めていこうというようになってまいりました。都市の側から見れば、過疎地、農出村には素朴な温かさがあると。自然の豊かな風土があると。あるいは、そこに大都会ではなかなか目に触れないような伝承文化、芸能もあるというふうな都市にない魅力があるわけでございますから、単なる観光ということではなくて、過疎地の風土、人情、文化に触れるという意味で、非常に魅力を感ずる時代になってきたように思います。

そういう意味では、農山村といいますか、自然の豊かなそういう地域に都会の人たちが、いずれかの年代の中で新しいライフスタイルをそこに見いだして、生活をしていこうという動きも非常に強く出てまいりましたし、そういう意味では、過疎地域の、かつて一昔前にあったような閉塞感とか、あるいは孤立感というものもほとんどなくなってきたんではないかと思われます。言葉をかえて言えば、今年、岡山で行われました全国過疎シンポジウムのスローガンになっている「21世紀に挑戦する過疎地域」と、こういう思いも過疎地域では非常に持っていると思います。

そういう意味では、都市との交流事業の実態、推進方策という意味での調査研究というものを、しばらく調査会としてやっておりませんでしたので、21世紀に向けて、この機会に委員の先生方に貴重なご意見、あるいは示唆、ご提言等をいただきながら、全国の過疎地域の活性化方策の大きな参考にさせていただく意味で、本年度、交流というテーマを選ばせていただきました。夏から秋にかけまして、20の町村につきまして、委員の先生方には、直接、現地調査をいただきまして本当にありがとうございました。きょう、いろいろなそういう意味での各地の体験を踏まえながら、貴重なご意見、ご提言をいただけるものと期待をしておるところでございます。導入部でございますので、以上で終わります。

 

■都市と農山村との交流の多様化

 

柴田委員長 ありがとうございました。今回の調査では、分担して10の道県、そして20の町村にまいりました。そこでのそれぞれの町、村ごとの状況につきましては、この報告書の第2章にそれぞれにいらっしゃった先生にご執筆をいただいたものが載ることとなっております。それとは若干重複するかもしれませんけれども、横断的にいろいろな事項別にお考えを伺って、そして、こういうところをこんなふうに考えていったらもっと交流の実があるのでないかと、そういうようなご提言がいただければ一番よろしいかと思うのでございます。以下、そういうことでお話を伺っていくことにします。

先ほどの専務理事のお話にもありましたように、最初の交流というのは、大都市の自治体と特定の結びつきを持って、そこの施設をその過疎地域の町村内につくって、そこへ継続的に来てもらう。そういうような視点に立ったものが多かったように思います。

 

 

 

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