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(4) 事業費

今年第15回の事業費は約600万円。主な支出は映画の借上げ料とゲストの交通費・宿泊費である。ゲストの出演料は好意に甘えて無料。主な収入は、入場料、広告費(協賛金)、町の補助金である。入場料は、映画1本800円、2本1,500円、4日間通し7,000円(今年)。広告費は、町内外の企業・団体130余りから、映画祭パンフレットに広告を掲載することにより得ている。町の補助金は200万円(第11回・平成6年以来)。

第1回以来、企業・団体から協賛金を集めていたが、次第にその募金活動が実行委員会にとって負担となってきたため、募金活動を縮小し、町の補助金に依存するようになっている(第9回・平成4年あたりから)。

 

(5) 成果と課題

映画祭が定着し、毎年数千人の参加者があること、映画祭を通しての様々な交流が、この祭りにかかわった人たちの間で行われること、このこと自体が大きな成果である。これにかかわってきた地元の青年の間に自信と誇りが定着したことは言うまでもない。

映画祭開催による町の対外的アピールは、参加者の口こみやマスメディアを通じてかなりの効果があり、観光客・湯泉客の入込み数は徐々に増加をみせている。

また、第4回・第5回にゲストとして参加した作家の笹沢左保氏は富士町内の一角に理想郷を見い出し、住民票を移して7年間ほど町内で定住生活を送った(後に、病気療養で転出)。ゲストとして参加した山田洋次監督・大林宣彦監督は自らの映画の撮影のロケ地のひとつにこの町を選んでいる。

村おこしの一環として始まったこの映画祭も15回を迎え、実施の中心となっている「シネマ倶楽部富士」の精力的活動の継続が期待されるが、そのスタッフ不足も否めないのが現状である。また、映画祭への地元町民の参加は少なく、町内の盛り上りや関心が薄い。テーマや上映する映画の選定に地元町民の意向を反映する試みがなされても良い、との声も出ている。「見たい映画を自分たちの手で」の原点にたち戻った今後の映画祭のあり方が問われてる時期に来ているようである。

 

 

 

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