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現在の進め方の問題点としては、担当課である教育委員会の負担が大きすぎる点が指摘できる。受け入れ児童・生徒の指導者は、教育委員会の職員が兼ねており、日中は教育委員会の仕事をし、夜間は指導者として寄宿舎に勤務する形態を取っているため、職員の負担と人件費の負担が嵩む結果になっている。

また、教育効果の面からも里親制度の復活も検討されており、里親のなり手確保とセンターとの連携が必要になってくる。

 

3. 交流事業の推進方策とそのあり方

 

3-1. 交流事業の推進方策とそのあり方

ここでは、山村留学制度にスポットを当てたが、昭和60年以降、集中的に投資を行ってきた村内白滝地区の開発は、定住人口増加に貢献し、他自治体の手本となった取組みであった。平成2年には過疎地域活性化優良事例として国土庁長官賞を受賞している。その流れを汲む山村留学は、交流事業としてもユニークな存在であった。

しかし、同様の事業を展開している市町村は先にもふれたように100を超えており、競合する他自治体もでてきている。その一方で、大川村のように人口的にも財政的にも規模の大きくない自治体が、独自にこの事業を展開していくには自治体の負担が過剰になることもまま生じて来る。そのためには、同様の事業を実施している自治体と共同で募集活動を行ったり、PR活動を行うことも必要になってくるのではないか。例えば、高知県内向けの募集は大川村の知名度を利用して単独で、県外向けのPRは同様の事業を行っている自治体と共同でといった、使い分けも可能であろう。単独で展開する限界と共同で展開していく可能性をにらみながら、次へのステップの模索を行っていく必要がある。

また、現在は児童・生徒だけの山村留学であるが、家族ぐるみの山村留学制度の開発も必要であろう。

 

3-2. 国などへの要望事項

地域主体型で山村留学を実施している地域では、費用負担や指導者の確保、住民理解の獲得など様々な限界が生じている。特に財政面での負担が大きいため、公的資金の導入による下支えを希望したい。特に大川村では中学生の受け入れを行っており、全国的にも希少であることからも、支援強化を訴えたい。

 

 

 

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