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これらの地域づくりの課題と、交流事業の位置づけであるが、白滝地区の開発の中の教育・観光レクリエーションゾーンでの宿泊体験や後半取り上げる山村留学制度は、交流をベースにしたものであり、定住人口の少ない村では、交流→定住の流れを確実に結び付けることが地域づくりの中でも重要な位置づけを占めていることが伺える。

 

2. 交流を通じた地域活性化への取り組み

 

2-1. 山村留学の実態

 

2-1-1. きっかけ

大川村の山村留学制度は、短期留学が昭和61年度から、長期留学が翌昭和62年度から実施されている。ちょうど新しい総合計画がスタートし、村おこしの動きが活発になってきた時期と重なっている。そもそもは学校の複式学級化を避けるために、山村留学制度の導入を検討するようになったのがきっかけである。

山村留学は、今回の事例調査先にもなっている長野県八坂村が先進地であるが、そこへの視察研修なども行いながら、実施に向けて検討を進めていった。検討していくうちに、本来の山村留学の目的は、過疎化や複式学級化を避けるための人員確保というよりも、村内外の子供たち同士の交流による教育の活性化にあるという主旨に達したため、まず短期留学制度を導入し実施するに至った。その後長期の留学を希望する者を募り、翌年から長期留学も実施するようになった。

 

2-1-2. 相手

短期留学は村内外の児童とその家族を対象に、一方、長期留学は村外の児童とその家族を対象に実施している。現在は、長期留学の前年に短期留学を経験してもらい、村を知ってもらってから受け入れるようにしているという。

 

2-1-3. 事業内容・目的

(1) 事業内容、事業費

短期留学は、年2回実施している。7月下旬に、7泊8日で白滝地区の自然教育センターや村内に民泊をしながら行うものと、8月下旬に3泊4日で自然教育センターを中心に実施するものとがある。参加者数は前者が約50名、後者が約30〜50名に上っている。

 

 

 

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