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邑智郡の場合、先述したように浜田自動車道の開通が大きい。これにより田舎と都会の距離が縮められ、農村体験の時間が持てるようになった。

アメリカやイギリスでは、近時都市人口に比して農村人口の増大が見られるといい、わが国でも農村人口の減少の下げどまり、所によっては微増するところもあらわれて来た(宮崎猛編『グリーンツーリズムと日本の農村』1997)。しかしこれらは農村といっても都市近郊のそれに限られており、中山間地域の過疎町村に及ぶものではなかろう。中山間地域がグリーン・ツーリズムを成功させるには、坐して来訪者を待つのではなく、それに必要な装置-情報の提供や受け皿の形成-が必要である。邑智郡の7町村が共同で広島市内に設けたアンテナショップもその一つである。

 

(II) アンテナショップ構想

 

1 アンテナショップの開設

アンテナショップとは読んで字の如く、都市に設けたオフィスを拠点に、農村の情報を発信して都市住民に知らせる一方、都市の情報をいち早くキャッチして農村へ伝え、それに対処するための装置のことである。邑智郡の場合、広島市民をターゲットとするところから広島市中(橋本町)に平成8年(1996)7月に開設した。ふるさと産品の見本を置き、訪れた客の注文を受けJAや生産者への取次ぎをすることはあるが、直接物販はしていない。最初は物販を期待する客の応接にとまどったが、最近は

 

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ふるさとクラフトショウ・しめ縄づくり(昭和8年10月)*

 

 

 

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