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この解決には、すでに指摘されているように、タイ国内でのそろばん製造を実現することであり、そのための技術指導などが必要と思われる。

それはともかく、このたび町役場で町長はじめ直接この事業に携って来た職員の体験談を伺っていると、理解ある上司の信頼の下で行われて来たこと、しかも決して無理をせず、身丈けに合った活動を続けていること、が感じ取られて嬉しかった。とくに後者は、国際的な交流事業にあっては不可欠の要件ではなかろうか。

最後にひと言。こんにちそろばんは、わが国の学校教育にも次々と電算機が導入されるなかで劣勢に立たされ、産業として低迷を余儀なくされている。しかし電算機を扱う児童の暗算力、計算力が、今後低下することは必定であり、その点に関して警鐘をならしている識者もいる。タイでは遅れた教育水準の引上げに役立っているそろばんであるが、他ならぬ日本でそろばんのもつ教育的な効用が見直される時が来るのではなかろうか。またそうあってほしいと思う。その時こそ当町の国際交流の努力が報われる時であろう。

 

 

 

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