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たたら製鉄が出雲神話の世界のものだったことも知られて興味深い。とくに当町大呂には昭和52年「日刀保(にっとうほ)たたら」が再現され、年に数度操業し玉鋼(たまはがね)を生産している。これには「村下(むらげ)」と呼ばれる国の選定保存技術保持者が当っているが、その技法は当町だけに伝えられている。つくられた玉鋼は全国の刀匠に配られている。前記「奥出雲たたらと刀剣館」でも月に2度、当町在住の刀匠による日本刀づくりの実演が行われている。それにしても当館に展示されているたたらの切断模型は息をのむほどの迫力があり、圧巻という他はない。

 

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たたらの切断模型 写真ではその迫力が示せない(奥出雲たたらと刀剣館)

 

ところで横田町では伝統的技術や芸術を体験できる場をつくるという「奥出雲手づくり村」構想の下にこれの整備を進めているが、その趣旨に共鳴して全国から若手、中堅の美術工芸家が来住、絵画・染色・本工芸・陶芸・ガラス工芸・わら細工などの分野で活躍している。いわば新しい芸術村づくりであるが、これは町内にデザイン専門学校を開設したこととあわせ、これからの町づくりに新風を吹き込んでくれるに違いない。

 

 

 

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