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このうち昭和50年代以降企業誘致(7社)が進んだ製造業の分野も今後の成長は困難とみられるが、最近京都のさる企業が島根県下に移ったという事例がある。多大のリスクをともなう海外移転よりも、国内の過疎地を選ぶというケースは、道路網など社会的インフラの装備が進めば今後ふえて来ることも考えられよう。

地場産業部門についても、さまざまな努力がなされているが、これについては「そろばん」事業との関連で後述する。

第三次産業のうち観光については、平成4年(1992)4月、国道314号線の三井野原道路、いわゆる「奥出雲おろちループ」の開通により、観光客は飛躍的にふえたというが、問題は話題性が薄くなって以後のことで、新しい観光政策の展開が求められている。

 

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「食の文化館・ピオニ」横田町では和牛の飼育もさかん、それが売りものの食堂もつくられた。

 

2 地場産業とそろばん

 

さて今回は横田町でつくられる「雲州そろばん」による国際交流を取上げるのが目的であるが、この事業が実現した前提には、伝統的な地場産業の育成を積極的に進めている当町の姿勢があったといってよい。

出雲で古くからたたら製鉄が行われて来たが、斐伊川上流の横田町一帯も、明治になって近代製鉄がはじまるまではたたら製鉄が盛んに行われていた。往時の盛況は、近時近隣町村が分担し合う形でつくった各種資料館―「たたら角炉伝承館」(仁多郡仁多町)、「菅谷高殿」(飯石郡吉田村)・「古代鉄歌謡館」(大原郡大東町)・「金屋子神話民俗館」(能義郡広瀬町)・「和鋼博物館」(安来市)および横田町の「奥出雲たたらと刀剣館」「絲原記念館」などにしのぶことができよう。

 

 

 

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