平成9年(1997)現在の人口は8,455人であるが、13,424人であった昭和30年(1955)に比すれば、37%減少したことになる。しかしこの間世帯数にはほとんど変動がない(表1)。これは人口の流出が挙家離村ではなく世帯員の一部の転出と少子化によるもので、廃村にまで追い込まれた地域は別として、他の過疎地にも共通する傾向といってよいであろう。しかも当町の場合、平成7年から9年にかけては44人とわずかながら増加さえしている。これが人口流出の下げ止まりかどうかは、もう少し推移を見守る必要があるが、鈍化の兆しとみて間違いないと思われる。近時は都市部の人口が減少する反面、近郊の人口増が見られるケースがある。しかしその流れが中山間地域にまで及ぶには、そこで生活が成り立つ受け皿づくりが前提であろう。横田町の場合、好景気時にとった積極的な企業誘致策(7社)の結果、就業の機会がふえたことが、先にみた鈍化ないし微増の原因とみられる。なお高齢化の進展は顕著で平成7年の高齢者率は27.3%、これは島根県の平均よりも高い数字である。
当町の産業構造は、第一次産業のうち基幹産業であった農業は、兼業農家率が90%にも及び、後継者不足と高齢化は深刻である。第一次産業(平成7年度において就業人口に占める割合いは25.0%)に対して第ニ次産業(同前37.7%)、第三次産業(37.3%)の比重が大きくなっているのも、他の過疎地とかわらない(図3)。