県境サミットが最終的になにを求めているのか、正直なところ現段階では分らない。これまでのエメラルドプロジェクトは「共同ソフト事業」とも表されているように、圏域内住民の交流と一体感を醸成することにあり、そのためのフォーラムやフォトコンテスト、ジャズコンサート、共同コーラスコンサート、民俗芸能大会などの開催が示すように、ソフト事業といってよい。最近は、圏域内を流れる5つの川を主題とする組曲「五川譜」(CD)の発売をはじめ、図書館の広域的貸出返却サービスのスタート、さらには地ビール発売に向けての協力など、圏域内観光を主とするサービスから、中山間地域の特質を生かした行政や産業に関わる事業へと進みはじめているが、どこまでハード面に切り込めるかはすべて今後の課題といってよい。
この県境サミットは、そのスタートに当り外部のコンサルタントに依頼しなかったという。依頼すれば「金太郎飴」のように他と横並びの同じような内容になることは目に見えている。それを退けて手作りの事業を16市町村の話し合いの下で展開するのは多くの苦労を強いられるであろうが、他に類例の少ない試みだけに、頑張ってほしいと思う。これまでの事業内容を逐一あげることはできないが、参考のため日南町の作成したアンケート調査書の関係部分(第2期以降)を引用することで、多様な取り組みの一端を見ることにしよう。