日本財団 図書館


しかし、グリーンツーリズムの観点から言えば、かえってその観光的な平凡さこそが有効というプラス志向で考えることも出来る。「農の大地に生きる会」の実践で経験を持つ同村は、優れた自然環境と相まって、グリーンツーリズムの適地として大きい可能性を持っているだろう。

(3) 要は、交流の主役となる地域住民が、同村にとって交流とは何なのかの理念をしっかりと持って実践を活発にすることである。行政は、住民に対して、そのための情報発信を的確に十分に、自信をもって行うことが大切である。流れを絶やさないことだ。

その場合、行政の指導性を“行政主導”とは考えずに“行政の英知”ととらえて、自信をもって住民に情報を発信し、パートナーシップ関係を高めるべきだと思う。当面の“おんぶ”の是非より、長い目でみたパートナーシップの成熟を重視したい。

(4) 何か飛躍のきっかけになるもの、交流の決め手になるものがほしい。飯舘年の町という特色を有効に生かせないものか。例えば、「牛肉フェスティバル」が好評のようだが、これと何らかのエンターテイメント(例えば、若者のバンド、児童鼓笛隊など)をドッキングさせて、イベント性を高めるのも、一つのアイデアだろう。

また、村では各集落の神楽、田植え歌などの伝統芸能の復活に力を入れているので、この活用も工夫したい。和の神楽と洋のジャズをドッキングさせる奇抜なアイデアで人気を呼んでいる町もある。

(5) 交流のターゲットを遠くから近く(県内近隣都市)へ移したのは、賢明な選択だと思われる。福島市内の住宅団地での「農市」開催はよかった。品質のよい「いいたてブランド」を売り込みたい。

東京は遠いし、大都市は標的として大きすぎてとらえどころがない。近くの都市を特定した交流の方が成果が上がりやすいだろう。ただ、過疎の山村と大都市との交流は、文化的に大きくへだたった“異文化”同士という点で大きい魅力がある。交流の妙味である。困難ではあるが、工夫をこらして、挑戦を続けてほしいと思う。

 

(参考文献)

飯舘村勢要覧「田園の詩人」。

飯舘村勢要覧・資料編。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION