3)同じ建物で2つ以上使うと混信し、特別な建物でないと防げない。
4)携帯型の磁気誘導ループは、設置が面倒で床のループが邪魔になる。また、スピーカと別なマイクを使う事が多く、設置にかなりの知識がいる。
5)補聴器が小型化して、テレホンコイルのない補聴器が多くなった。
6)大きい会場には、多量のループと容量の大きい増幅器がいる。
7)磁気には向きがあるので、聞こえる大きさが変わる。
4. 赤外線補聴システム
赤外線補聴システムは声を赤外線にかえて、聞きたい人はその赤外線を元の声に変える装置を持って聞くものです。赤外線は電灯と同じなので光を遮らない所なら受信できる。このように、目に見えない光を室内のどこかに設置すれば良いので、混信もなく手軽で集団補聴設備としては大変優れている。しかし問題点も多いので列挙してみる。
1)赤外線受信機を使い、自分の補聴器が使えないので充分フィッテングしない。
2)自分の補聴器を使う場合は、テレホンコイルを使うが、このように増幅器や変換機が多数入るのは雑音や歪みが多くなる。
3)屋外では使えない。
4)蛍光灯等赤外線が点滅するものに近付くと雑音が出る。
5)赤外線受信機を会場か個人で持ち、充電等の管理がいる。
5. FM送受信機
FMは電波である点を除けば、赤外線補聴設備によく似ている。けれども欠点はこちらのほうが多い。経験は少ないが、問題点を上げると、
1)電波なので、同じ周波数で隣で使うと混信する。
2)FMに変調したり、検波するので歪みが出易く、音質が悪くなる。
3)FM受信機を会場か個人で持ち、充電等の管理がいる。
4)自分の補聴器が使えないので、充分フィッテングしない。
5)自分の補聴器を使う場合は受信機にテレホンコイルを使う。
6. むすび
補聴器は主として声が聞き易いようにフィッテングしてある。補聴援助システムを使うとすると、機械音でなく音が忠実に再現される事が生命である。その点、磁気誘導ループは会場などで使う性能の良いマイクと増幅器を磁気ループを通してつなぎ、しかも補聴器についているマイクは通さないので一層音質が良くなる可能性がある。加えてループでつなぐのは、尖頭音を和らげるなど聞きやすい音に変えるところがあると思える。磁気誘導ループの欠点をかなり改善したフラットループが市販されている。しかしこれは携帯には向かず建物を建てるときに敷設する必要がある。他のシステムは音質が少し落ちるが、設置する側で便利なので、広めるにはこちらが早かろう。
これらの補聴援助システムを設置すると、音を忠実に聞く人が格段に増すであろうが、これまでやってきた要約筆記が疎かになってはならない。