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補聴援助の問題点

 

広島市 大林載孝

 

1. はじめに

 

身近の聞こえにくい人、補聴器を掛けている人を意識すると、この社会にいる難聴者の数は膨大なものになることが分かる。これらの難聴者の意識は多種多様で、その実態を明らかにするのは不可能ではないかと思える。意識の違いを生じる原因をざっと拾ってみると、先天的な難聴者と中途難聴者・聞こえの程度の違い・障害の生じた年令の違い・年令の違い・生活環境の違いがある。他にも色々とあると思うが、他の障害者も同じではないかと単純に割り切れないものを上げた。難聴は情報の障害なので、単に聞こえないというだけでなく、情報が得られるかどうかの環境でその難聴者の知識や生活は大きく変わってくるからである。

一例として、年令の違いを上げたが、差別の大きい時代を生きた人はその後の人に較べて障害をもったという打撃が大きいが、そのために難聴を隠そうとしたり、社会参加を避けようとする意識を持ちやすい。難聴者の仲間に誘おうとしようものなら、「私は障害者とは違うんだ」と全く相手にされないことが多い。

他の原因もこの例のように社会から逃避する言い訳を作りやすい。ある福祉の議論で、「何故この議題の中に難聴者が入らないのか」と質問すると、高名なパネラーから「議題にある障害者は死にものぐるいで活動して来たから」という返事が返ってきた。果たしてこれが福祉なのかどうか、補聴援助システムは閉じこもってしまった難聴者の福祉に大きく関わる問題である。

 

2. 社会の意識

 

補聴援助システムの前に、まず社会にはろうあ者のほかに難聴者がいるという根本的な意識が欠けている。これが他の障害者と同等なレベルなら、難聴者の福祉は飛躍的に向上するであろうと思える。それは情報を得るというのは情報を出す相手があるからである。

難聴で生活してみて、特に困らすわけでも何でもない事なのにやってもらえない事がずいぶんある。例えば、どうしても聞き取れないから、メモを出して「ここに用件を書いて欲しい」と頼んだ時に、声を張り上げる人は多いが書いて呉れる人は非常に少ない。字が下手だからと言う人もいる。これらは悪意でなく無理解なのである。こうした観点から、集団補聴システムを義務付けるなど社会に広める事は大変大きな福祉向上になる。

 

3. 磁気誘導ループ

 

磁気誘導ループで聞くと、必要な声だけを補聴器に入れるので大変聞き易くなる。一般に補聴器で聞きにくいのは、聞こえる耳にある「カクテルパーティ効果」という聞きたい音に注目する機能がないからです。磁気誘導ループは丁度その効果を持っているような働きをして、聞くのを諦めているような、かなりの難聴者まで効果がある。しかし問題点も多くあり、気付いた事を列挙すると、

1)磁気誘導ループを敷設したところがほとんどない。

2)希望にそった磁気誘導ループが少なく、作ったり、改造したり、修理する所がほとんどない。

 

 

 

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