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1. 補聴援助システムの現状と課題

 

1)補聴援助システムの現状

全難聴では「公共施設に磁気ループを!」と、だいぶ前から社会にアピールしてきた。が、しかし、補聴援助システムなどという言葉が日本の難聴者の目に触れるようになったのは、つい最近のことである。全難聴の主なる運動目標は、要約筆記であり、字幕放送の拡充などであった。

磁気ループの大切なことを説いても、耳を貸してはもらえなかった。全難聴傘下の各協会の会員や会長、事務局長などの役員の多くが、中途失聴者であったからである。直接、自分に役立たないものには力を入れてくれないからである。事情が変わったのは、人工内耳の普及による。人工内耳の手術で、協会の役員、会員が聞こえを取り戻すようになってはじめて、人工内耳や補聴器の聞こえの限界を補い、よく聞こえるようにする補聴援助システムの威力と有難さが注目されるようになった。

そんな訳で、補聴援助システムの普及はこれからであり、今回のシンポジウムが期待される所以である。

(1)一般社会には、まだ殆ど知られていない。

(2)公共施設にも殆ど普及していない。

(3)全国の難聴者協会では、一応、携帯用の磁気ループは持っているが、多くの協会ではそれのみであり、音切の少ないダイバシティワイヤレスシステムなどは持ってないところが多く、極めて不十分な所が多いように思われる。

(4)聴言センター、視聴覚障害者情報提供施設なども、簡単な磁気ループしか持ってないようであり、現在のところでは補聴援助システムを普及させていく拠点とはなりえていないようである。

(5)数年前から赤外線も知られるようになったが、それまでは磁気ループだけであった。FM、有線式(ワイヤード)などを利用している協会や個人も少ないようである。これらの利用も今後が待たれる。

 

2)問題点

(1)磁気ループ、赤外線、FM、有線式(ワイヤード)補聴システムなど、各種の補聴援助システムの特徴が知られていない。したがって、それぞれのシステムに対する難聴者団体による評価もこれからの問題である。これなしに補聴援助システムを普及させていくのは難しいので、早急な合意が必要と思われる。

(2)公共施設に既に敷設されている磁気ループについては、どういう訳か、よく聞こえないものが少なくないようである。その多くは出力が出ないので、聞こえが使い物にならないようである。磁気ループが敷設されているのに、役に立たないので、移動用の磁気ループを持ち込んでいる所が少なくないように見受ける。以前は、各地の難聴者協会にも殆ど知識がなかったし、深い関心もなかったので、受益者である難聴者が敷設に関係することがなく、業者と行政まかせでは、このようになってしまうのであろう。補聴援助システムは、よく聞こえなければ全く意味がないといえる。磁気ループにしろ、赤外線にしろ、有線式にしろ、よく聞こえなければ敷設する意味がない。敷設する以上、何としても、よく聞こえるようにする努力が望まれる。

(3)「完全参加と平等」を求めた国際障害者年とそれに続く「国連・障害者の十年」の成

 

 

 

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