第4章 補聴援助システム
補聴援助システム
愛媛大学教育学部
立入 哉
補聴援助システムとは、聴覚障害児者の聞こえの向上または聞こえを代替するシステム全体を指しています。補聴援助システムは、1]話し手の数・聞き手の数や、場面設定という分類と、2]音響情報の伝達・代替方法による分類の2通りの分類ができます。用途や場面に応じて、いろいろな補聴援助システムが考えられています。
1]使用場面による分類
使用場面
1人の話し手→1人の聞き手(親子の会話)
1人の話し手→多数の聞き手(聾学校など)
多数の話し手→1人の聞き手(家族での会話)
多数の話し手→多数の聞き手(会議場面など)
音を出す電化製品→聞き手(テレビ・CDの音を聞く)
電話(テレ・コミュニケーション)
感覚代行機器(振動式時計など)
2]伝達・代替方法による分類
伝達方法
1. 磁気誘導(ループ)
2. FM電波
3. 赤外線
4. 有線
5. 拡声装置
6. 感覚代行機器
ここでは2]の分類1〜4を最初に紹介し、その後、テレビ視聴・電話関連・感覚代行機器といった利用場面での応用例について紹介します。まず、最初に2]の分類1〜4に関連して、補聴器の周辺部品を紹介します。
0. 補聴器の周辺部品
0-1. タイループ
「T」と書かれているスイッチが付いているポケット形補聴器・耳かけ形補聴器や、オプションでT回路を内蔵した耳あな形補聴器、人工内耳のオーデイオインプットセレクタでは、タイループを使うことができます。タイループは図のように首に掛けて使います。市販されているタイループの先端はミニプラグになっています。