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図5b 単語の聴取能力

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(2)どのように聴覚活用をするか

新生児の聴覚器官はすでに解剖学的には完成し、成人と同じ様に“聴力”は機能している。しかし、音の異同の弁別、識別、理解など高次の能力を要する“聴覚”の機能は、出生後から1年以内に徐々に発達する。乳幼児の聴覚活用では、補聴器の装用開始後の2〜3カ月については、生後8カ月頃までの聴覚認知の発達を順にたどり、その後は言語音、環境音、音楽についての認知能力を高めていくことになる。

幼児期は聴覚音声の会話の獲得が聴覚活用の主な目的のひとつなので、日常的な会話の聞取りを重視した聴覚活用の方法について、以下のような経過で有効性が議論されている。

聴覚情報の処理についての心理学的なモデルとして、従来より検出(detection)-弁別(discrimination)-識別(identification)-理解(comprehension)のステップが提唱され、さらに言語単位の難易度(音節、単語、文章、句)を組み合わせた聞き取りの検査法が一般に用いられている。そこで、20〜30年前から幼児期にはこのモデルをベースにし、教材の音響的な複雑さにステップをおいた聴覚スキル訓練(聴能訓練)が用いられていた(表6a)。

 

表6 a,b聴覚活用のステップ

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しかし、0〜2歳児の早期診断が始まると、1)乳幼児には聴能訓練のような課題学習が実施できず、また2)聴覚スキルの訓練は、日常の聴取経験や言語理解にかならずしも汎化しないという指摘があった。さらに、3)楽器音など音教材の音響特性の差は大きく、言語情報の数100msecの処理に直接結びつかない、4)音教材と言語では処理する大脳半球が異なるなど議論された。その結果、幼児では聴覚スキル学習(聴能訓練)から、生活の中での身近な聴取経験や会話場面を用いた学習(聴覚学習)の有効性が提唱されるようになった。ここでは教材の音響的な複雑さより、幼児の興味、認知発達・学習の動機付けに注目している。子どもが環境音やことばを聞き分けるにはその意味がわかり、人への興味、ものや状況を認知する力を育てることが必要になる(表6b)。

 

 

 

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