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22本全て使えれば20の+極と-極の組み合わせができます。そしてこの組み合わせをチャンネルと呼びますが、図1に示す様に、電極を1本飛ばしにして電流を流す方法をBP+1(バイポーラプラスワン)、2本飛ばしをBP+2(バイポーラプラスツー)、3本飛ばしをBP+3(バイポーラプラススリー)といいます。+極と-極の間が離れれば離れるほど、電流の流れる範囲が広がり、その分電流を受ける聴神経の数も増えるので、より低い電流量で聞こえたという感覚が起こります。ですから、BP+1だと上限に近い沢山の電流量でないと聞こえない、もしくは大きく感じられないような患者さんの場合、チャンネル数は減りますが、BP+2,BP+3で電流を流すことがあります。但し、先に述べたように内耳の聴神経は、その場所によって音の高さが違って感じられるので、場所が広がればその分音の高さはぼやけて感じられるということになります。また、電極にショートなどのトラブルが予想される時は、CG(コモングランド)といって、1本の電極を+にし、他の全ての電極を-にして電流を流す方法で、電極を1本づつ調べることができます。

 

図1 刺激モード(BP、BP+1、BP+2)

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<スイープ>

全チャンネルのT,Cレベルの電流量を調べ終わったら、チャンネル間で大きさのバランスをそろえるスイープという作業に入ります。これは、先に述べたように、ことばや物音は様々な周波数の組合せでできており、マイクで拾われた音は人工内耳で周波数分析され、割り振られた周波数を担当するチャンネルのレンジの範囲で、電気刺激に変換され聴神経に伝えられます。従って、各チャンネルから出る音の大きさがまちまちだと、音が歪んだり別の音に聞こえてしまうのです。それを防ぐため、チャンネル20からチャンネル1まで順番にCレベルの電流量を流し、それで感じる音の大きさを比べてみて、ばらつかないように大きさをそろえていきます。一度に20チャンネル全てを通して聞く方が良い人もあれば、隣り合う電極2本づつを比べないとわからないと言う人まで様々ですが、このスイープという作業は、先のT,Cレベル測定に比べ、多くの患者さんにとって難しいようです。というのも、チャンネルが変わると音の高さが変わるだけでなく、音質も微妙に違うことがあるそうで、そういう音の高低や太さ、細さといった違いのあるものを、大きさという側面で比べるのはとても難しいといわれます。

Cレベルの大きさをそろえたら、50%スイープといって、Tレベルの電流にレンジの50%の電流量を上乗せした電気刺激を、チャンネル20から順に流し、やはり同じ大きさで聞こ

 

 

 

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