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高齢者に対する補聴器のフィッティング

-補聴器を利用して豊かなコミュニケーションを-

 

医療法人  大山医院

大山孜郎  片山高

 

【はじめに】

人間は、加齢と共に聴力が低下します。もっとも、難聴の進みぐあいは人によって様々で、80才を過ぎてもほとんど不自由なく会話が可能な人も居れば、60才ぐらいでも大きい声で話さないと聞こえない人も居ます。世界でも類を見ない超高齢社会に突入した日本です。きこえの不自由な高齢者が増加していることは間違いありません。我々の医院にも聞こえの障害や補聴器のことで相談にこられる高齢の方は年々増えています。高齢者が快適な生活を維持するために、聴力低下によるコミュニケーション障害を補う補聴援助システムを考えることは極めて重要です。

 

【高齢者の難聴】

高齢者の難聴は、進行がゆっくりですし程度も比較的軽いことが多いです。そのため、家族の人は、どうも話がうまく通じないということで、高齢者の耳が遠くなったことに気が付きますが、本人は聞こえの悪いことを自覚していないことが多いです。高齢者は、周囲の者が気を遣って大きい声で話すと聞こえるので、聞こえにくい時には自分の聞こえが悪い為でなく話し相手の声が小さいせいだと思い勝ちです。そして、難聴が更に進行し本人が自覚すにようになったときには歳だからとあきらめてしまいます。みなさまも経験があると思いますが、大きい声で話し続けることは非常にエネルギーの要ることです。そこで耳の悪い人と会話をする際、ついつい面倒になってしまい話を簡単に済ませてしまうことが多くなります。ただでさえコミュニケーションが不足勝ちである高齢者にとって、耳のきこえが悪いとますますコミュニケーション不足になり、ひいては痴呆の進行を早めると言われています。加齢に伴う聴力の低下が、社会生活への参加を制限すると共に自覚的な健康度を低下させる要因になるとの調査結果も発表されています。このことは在宅介護を受けて居る高齢者、特に寝たきり老人にとって重大な問題です。

 

【補聴器を手に入れるのには】

では聞こえが悪くなった高齢者に対してどのような対応が必要なのでしょうか。呉々も歳のせいだからと放置しないで下さい。聞こえの不自由を補うものとして補聴器があります。補聴器は簡単に言えば、マイクロホンで音を聞き取り、それを増幅してイヤホンで聴く携帯用の増幅器です。でも補聴器は敬老の日にプレゼントするものではありません。補聴器は電気器具屋さんとか、眼鏡屋さん、時計屋さんで売っています。デパートやスーパーでも売っていますし、通信販売のカタログにものっています。でも、補聴器はそういうところで簡単に買うものではありません。補聴器は電気器具ですが医療器具であることを忘れてはいけません。難聴の人が補聴器を付けると音は大きく聞こえますが、残念ながら、きこえの正常な耳で聴くのと同じにはなりません。補聴器は買ってきてそのまま使ったのでは、うるさいばかりで肝腎のことばが

 

 

 

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