2. 自分の難聴を知ろう。
一口に難聴といっても耳の入口から脳に音が伝えられるまで複雑な経路を辿るが、どの部分が障害されても難聴となるわけで、大別して内耳迄の障害によるものを伝音難聴、内耳以降の障害には感音難聴とよび、両者の混在する難聴を混合性難聴と分類する。後述するが同じ難聴でも両者でその示す特色が違う。
難聴者ならば時報に使われるピーというような純音と呼ばれる音での聴力検査を受けられたであろう。その代表的な純音による検査で分ることは、難聴の程度、そして音の高さによって難聴程度の違いを示すカーブ、上に述べた難聴の性質分類で、これをオージオグラムという。これら検査を受けた時にはコピーなりをもらって記録を残しておこう。それによって将来例え他機関であっても再検査の時には難聴者自信にも、又検査側にとっても非常に参考になるものである。
3. 定期的な聴力検査のすすめ
高齢難聴者の耳鼻咽喉科医への受診率の低さ、又受診したとしても一回きりで何年も受診されていない実態については述べた。これは医師側の「治らない」「年のせい」とだけの対応のまずさも原因していようが、例え難聴回復の望みがないにしろ、進行悪化がなければよし、とにかく少なくとも年に一回の定期的な聴力検査は受けて頂きたいものである。
何の慢性疾患でも自己管理が必要であることは云うまでもない。糖尿病しかり、高血圧症しかりである。難聴の悪化は、その不自由さを倍増してゆくのである。
慢性に経過する病気でも急性症状を呈することがある。突然の難聴の進行、耳鳴の発生、めまいなど自覚した場合には即刻の受診が必要である。それは徐々に進行するものと違って治療の対象であるからであるが、その時にも定期検診の資料は医師にとり役立つのである。なお耳鳴りについてあきらめる向きもあるが消失例もあることを付記しておく。