日本財団 図書館


補聴器装用者へのアドバイス

-耳鼻咽喉科医からの-

 

京都府立医科大学客員講師

安野友博

 

耳が遠いということは人間にとってどんなに不自由なものか、聴こえていて当り前と思う一般の人にとっては計り知れないものがある。ここでは耳鼻咽喉科医として難聴者と家庭の人達及び周辺の人々を含めて提言をしてみたい。

 

1. 耳鼻咽喉科医への受診のすすめ

 

難聴者が補聴器を使用することは、その難聴はまず回復し得ないことを意味している。ところで私の調べでは高齢者は耳鼻咽喉科に受診せず、更生相談所にいきなり訪れる人が京都市内という便利な所でも40%に達する。この値は不便な所ではもっと多くなろうが、更にはその4分の1の高齢者が既に補聴器を既に持っておられる。(表1)

 

表1 京都市リハビリテーションセンターを訪れた原因不明の

65歳以上の難聴者の耳鼻咽喉科医への受診率と受診時期

022-1.gif

 

非受診の理由の殆んどは年齢のせいと自分で決め込んでおられるのである。残念なことは更には受診された方でも一回きりで何年と受診されていない方が甚だ多いことで、これは今迄の耳鼻咽喉科医の対応、又補聴器店のあり方にも原因があろう。

高齢となれば難聴になることは誰でも知っているし、事実80歳を越えると急激に日常に支障を来す難聴者が増加する。しかし高齢者の難聴が全て年のせいばかりでないのも事実である。

難聴をおこす病気には色々あり、高齢者にもそれは起こり得る。幼児に多い滲出性中耳炎も高齢者も又多発するし、極端な場合耳垢栓塞もある。余分な原因を排除するためにも是非受診をおすすめしたい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION